札幌高裁R8.5.7
社会福祉法人に懲戒解雇された職員が訴訟を提起。
裁判所は職員の一部行為には懲戒事由に該当し得るものもあるが、その程度は必ずしも重いものといえず、懲戒解雇は無効であると判断。
判決確定後に法人は職員に出勤を求めたが、職員は出勤せず。
法人は職員が独自の見解により出勤を拒否しているとしてその後の賃金を支払わなかった。
→解雇に至る経緯、代表者の言動、前件裁判やその後の紛争の経緯等によれば、職員と法人との間において、雇用契約上の信頼関係が著しく損なわれており、職員が復職するにあたっては、相応の職場環境の調整が必要となることが明らかである。
この点、法人は、前件裁判の判決後に、職員の復職に向けた準備を終えたとして速やかな復職を求める旨を連絡した。
しかし、そこには具体的な準備の内容等は記載されていなかった。
職員は、復職後の労働条件を書面で明示することや、自分が法人理事長から受けたパワハラについて申し立てをするので調査担当者を第三者とすることその他職場環境の調整を求め、復職協議をしたい旨を連絡した。
しかし、法人は、これらの要請には応じず、連絡文書により前件裁判の判決に基づく全ての義務について弁済の提供をしており、その余の義務は負わないとの見解を述べるに至っている。
以上の経緯によれば、法人は、職員の要望をことごとく拒否していたのであって、具体的な対案を提示するなど、職員の提案を真摯に検討した形跡もうかがわれない。
前件裁判において法人が提出した陳述書において、少なくとも16名の従業員が、職員が復職するのであれば退職する、二度と顔を見たくないなどと記載していたことにも照らすと、法人が職員に対し労務提供を命じたことのみで、直ちに懲戒解雇に伴う受領拒絶の状態が解消されないことは明らかであり、法人の態度はおよそ現実的な復職に向けた対応とはいえない。 本件事情の下においては、法人が復職を求める連絡をした後の不就労も、法人の責めに帰すべき事由によるものであり、法人はこの期間について賃金支払い義務を負うと判断





