クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.5.15)

判例・裁判例コラム

クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.5.15)

事件の概要

食品販売会社の係長が37歳で自宅で突然死

裁判所の判断

死亡前6か月の時間外労働は平均月56時間であり、相当程度の疲労を蓄積させるものであった。また、死亡の1週間前に県外出張が3回あり、長時間の往復移動・深夜帰宅があった。さらに、大口取引先に納品した商品が真空パックの不具合により腐敗していたことによる消費者クレームが発生し、自身が顧客に謝罪したり直接強い叱責を受けることはなかったにせよ、大口取引先との取引停止につながり得る重大性も踏まえれば、担当者としての負荷は強度であったというべき。恒常的な時間外労働や県外出張による不規則勤務、クレーム対応が集中したことにより発症に至ったもので、死亡は業務起因と判断。

労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6.5.15)労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6.5.15)前のページ

【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整備を解説(令和6年11月1日施行)次のページ【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整備を解説(令和6年11月1日施行)

ピックアップ記事

  1. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  2. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    ストーカー被害の申告を延々と繰り返す事務職員に対する懲戒処分

    大阪地裁H28.6.9生命保険会社の事務職員が同僚からストーカー行為…

  2. 判例・裁判例コラム

    カツオの荷抜き行為が発覚した売場係長に対する退職金不支給

    静岡地裁R6.5.23漁業協同組合の売場係長が、約3年間にわたり、水…

  3. 判例・裁判例コラム

    役職手当を固定残業代と定める規定の有効性

    東京地裁R5.10.6整骨院経営会社が給与規程で役割給、役職手当、資…

  4. 判例・裁判例コラム

    産業医がいる会社の復職可否判断

    東京地裁R6.5.28「主治医は患者の治療を任務としており、患者の職…

  5. 判例・裁判例コラム

    通勤中の電車内で盗撮行為を行った課長を懲戒解雇した事案(控訴審)

    名古屋高裁R7.3.25課長が通勤中の電車内で口を開いたリュ…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    会社が傷病手当金の申請に協力しなかったことを理由とする損害賠償請求
  2. 判例・裁判例コラム

    産休からの復帰に際し、週5勤務から週1勤務に変更することを提案したことが適法とさ…
  3. 判例・裁判例コラム

    残業許可制について厳格な運用をしていたと認められた事例
  4. 判例・裁判例コラム

    第三者名義の口座への給与の支払い
  5. 判例・裁判例コラム

    会社の要請に反する行動を理由とする降格
PAGE TOP