判例・裁判例コラム

残業許可制について厳格な運用をしていたと認められた事例

東京地裁R3.6.30
就業規則で21時以降の残業は事前の許可を要し、許可のない場合は賃金を支払わない旨を定めた。しかし、従業員が21時以降も許可を受けずに残業していたとして残業代請求。

→①会社は残業の許可を得ていないにもかかわらず21時以降にタイムカードが打刻されている場合、翌朝にタイムカードに赤字で「残業未承認」というゴム印を押していた。
②代表者は、少なくとも毎月1回は、21時以降の残業は許可制だから残業許可申請書を提出するようこの従業員に注意していた。
③承認を得ていない21時以降の時間については労働時間にはならない旨記載された「貴殿の就業時間に関するご通知」と題する書面をこの従業員に交付し、署名捺印させていた。
④従業員が21時以降無許可で社内で滞留している点について、けん責処分を行っていた。

以上の許可制の厳格な運用及びそれを前提とした会社の指導等の状況に照らせば、従業員が主張する21時以降の時間外労働は使用者の指揮命令下にある労働時間と評価することはできないと判断。

業務量については使用者による正確な把握が難しいこともあり、また、変動もあるため、許可制の採用にあたっては、例えば21時以降も終わらず許可も申請しない場合は、上司に業務を引き継ぐまたは翌出勤日にやるべきだということをルールとして明示することが必要だと考えています。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  2. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  3. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  4. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  5. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    懲戒解雇の通知後に行った予備的普通解雇が無効とされた事案

    東京地裁R3.6.25職務怠慢やハラスメントを理由に従業員を懲戒解雇…

  2. 判例・裁判例コラム

    在宅勤務の権利を主張し、出社指示に従わない従業員の解雇

    東京地裁R7.1.15ソフトウェアに関する技術指導などを事業とする会…

  3. 判例・裁判例コラム

    美容師の退職後の競業避止義務違反に6万円の賠償命令!東京地裁の判断の理由とは?

    東京地裁R7.3.26表参道で美容院を営む会社が、自社店舗と他社から…

  4. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用における能力不足解雇

    東京地裁R4.2.2欧州連合が日本で広報担当者を雇用したが、上司から…

  5. 判例・裁判例コラム

    「長すぎる休職制度」を見直した病院が敗訴! 裁判所が問題視した点とは?

    京都地裁R7.10.2病院が就業規則の私傷病休職の規定を変更変更前は…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    売上額に応じて支給される業績給は労基法施行規則19条6号の出来高払制賃金にあたる…
  2. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

    判例・裁判例コラム

    業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  3. 判例・裁判例コラム

    試し勤務の提示を拒否した従業員の復職可否判断
  4. 判例・裁判例コラム

    暴力・暴言繰り返す社員の解雇
  5. 判例・裁判例コラム

    会社からタイムカード打刻を義務付けられている営業部長の管理監督者性
PAGE TOP