東京高裁R8.1.22
銀行が部下・同僚・上司を執拗に非難する職員に対して懲戒処分。その後、この職員を人事部附に配置転換し、各部署から要望を受け付けたテーマに基づきレポートを作成するという業務を担当させた。
また、配置転換後も、職員が、作成を指示された目標管理シートやキャリアプランシートについて、目標を記載しないものを提出したり、異議申立書を提出するなどしていたことから、銀行は職員にはなお改善の余地が大きいと判断し、 この職員を、3年3か月の間、人事部附に留め置いた。
→職員と銀行との間の労働契約には、職種等の限定があったとは認められないから、配置転換について銀行に広範な裁量が認められる。
そして、銀行は、本件職員を組織として業務を行う部署に配置した場合、部下、同僚及び上司を執拗に非難し、職務上の命令に不当に反抗する可能性が高いことから、本件職員を人事部附に配置転換したものと認められる。
配置転換後の執務スペースは、もともと応接室であった部屋を本件職員1人で使用することとしたもので、必要な備品等は整備され、他の行員が執務するスペースへの出入りも禁じられていなかった。
また、窓口となる担当部長が配置され、本件職員が週3日出社した際には、対面で30分から1時間の面談をしていた。
しかし、本件職員が、業務中に他の行員と連絡を取り合ったり、打合せをしたりすることは事実上不可能であったといえ、3年3か月間もの間にわたり、一人で別室に隔離され、人間関係から切り離されていたものといえる。
また、職員は、人事部附となった後、目標管理シートやキャリアシートを担当部長の指示通りに提出しなかったことは認められるものの、職員の業務に照らせば、主体的に個別目標を作成すること自体困難であるし、与えられた業務であるレポート作成自体は、期日までに完成させており、その内容も各部署で活用される程度のものであったというのだから、上記シートの不提出をもって、上司の指示に従わず、改善の余地が大きいとして、3年3か月もの長期にわたって、一人部屋に隔離をしなければならない合理的な理由があったとは認められない。
また、配置転換後の業務についてみても、レポートが銀行内で一定程度活用されていた事実はうかがえるものの、そのテーマは、職員がこれまで業務で養ってきた能力、知識、経験等とは無関係なものがほとんどであった。
3年3か月間もの間、人事部附として、応接室に隔離し、レポート作成以外の業務を与えなかったことは、パワーハラスメントにあたる。
銀行に対し、慰謝料等110万円の支払い命令。




