判例・裁判例コラム

病気休暇中の職員に対し、休暇延長・休職の選択肢があることを示さずに退職勧奨を行った事案

宇都宮地裁R5.3.29
双極性感情障害のために傷病休暇中の県職員が退職勧奨を受け退職願を提出したが、その後取り消しを求めた。

→職員は退職勧奨の面談の冒頭で、常時耳鳴りやめまいがすること、頭の回転が落ちており本来の自分と比べて30%程度の状態であることなどを説明しており、28年余にわたる公務員としての身分を失うという人生の重要局面における決断を、熟慮の上でなし得るような病状であったとはいい難い。上司らは面談の際、これまでずっと職場に甘えてきたのではないかなどと職員を責めるようなことを告げており、休暇延長や休職という選択肢を明示的に示すことがなかった。職員の立場で複数の選択肢を示すなどのアドバイスをする者もおらず、職員は主治医や家族を含め誰にも相談することなく、面談のわずか2日後に退職願を提出している。熟慮することができないまま退職の選択肢しかないという思考に陥った結果、退職願を提出するに至ったものであり、退職願は自由な意思に基づくものとはいえない。県の辞職承認処分は違法と判断。

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