判例・裁判例コラム

部下の上司に対するハラスメントについての懲戒処分

東京地裁R6.3.21

上司に、自身のパソコンの画面を見られていると感じた部下が「いい歳のおっさんが目くじらをたてるところではありません。」「ストレスを感じ、かつ気持悪いので、そういう行為は止めてください。」と記載したメールを上司に送信。別の日には、上司が担当している中退共の掛金の金額が誤っている旨指摘し、「総務のトップとして、頼りにならないにも程がある」と記載したメールを上司に送信した。会社はこの部下に対し、降給降格の懲戒処分をして、基本給を2万円減額

→職場規律違反に該当し部下と上司との関係といった企業秩序の根幹にあるものを乱す行為である。会社が懲戒処分の中で、降給降格処分を選択したことは、この従業員に対する懲戒処分が初めてであったことなどを踏まえても、非違行為の内容及び程度に照らせば、重すぎるということはできない。処分は有効と判断。

講師の賃金について「1授業(50分)時間当たり:2310円」と定め、授業準備やテスト採点について別途賃金を払わないことは違法?前のページ

自分自身が納得することを最優先し、会社業務への支障を生じさせる従業員の解雇次のページ

ピックアップ記事

  1. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  2. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    役職手当を固定残業代と定める規定の有効性

    東京地裁R5.10.6整骨院経営会社が給与規程で役割給、役職手当、資…

  2. 判例・裁判例コラム

    暴力・暴言繰り返す社員の解雇

    東京地裁R6.10.22上司の顔面をたたいて眼鏡を落下させる…

  3. 判例・裁判例コラム

    有給取得取得予定日前日の時季変更権行使

    札幌高裁R6.9.13ホテルの宿泊部部長がハワイで挙行される娘の結婚…

  4. 判例・裁判例コラム

    不備のある定額残業代を就業規則変更によって有効にできる?

    東京地裁R6.2.19運送会社において多数の従業員が未払賃金請求。そ…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    裁量労働制であれば生活リズムが整っていなくても復職できる?
  2. 判例・裁判例コラム

    雇用契約書に明記した固定残業代の主張が認められなかった事例
  3. 判例・裁判例コラム

    1年単位の変形労働時間制を定める就業規則の不備
  4. 判例・裁判例コラム

    部下3名(正社員1名、派遣社員2名)の部長の管理監督者性
  5. 判例・裁判例コラム

    会計資料の外部提供は「会社の重大な機密を社外に漏らしたとき」の懲戒解雇事由にあた…
PAGE TOP