判例・裁判例コラム

売上の5パーセントを割増賃金に充当する雇用契約書の定めは有効?釧路地裁の判断!

釧路地裁R6.3.25

タクシー会社において売上に連動する賃金制度を採用し、売上の45%を歩合給、売上の5%を割増賃金に充当される割増歩合給である旨定めた。これについて、運転手が割増歩合給は労働時間の具体的な状況に応じたものになっておらず、単に乗務員の給与額を売上の合計50%にするものにすぎず、時間外の労働時間が増えても直ちには割増賃金が増えないから労働基準法37条に違反すると主張した。
→使用者が、労働契約に基づき、労働基準法37条等に定められた方法以外の方法により算定される手当を時間外労働等に対する対価として支払うこと自体が直ちに同条に反するものではない。歩合給部分を売上の45%、時間外労働、深夜労働割増賃金の対象となる歩合給割増部分を売上の5%とする旨は雇用契約書上も明記されており、所定労働時間外時間数及び深夜勤務時間数が増加して、歩合給割増部分が増えた場合に、歩合給部分が減少するなどの関係にもないから、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを明確に判別することができる。会社による歩合給割増部分の支払は、労働基準法37条の定める割増賃金の支払と扱うことができると判断。

このような売上の〇%を固定残業代(厳密には固定されていないので固定残業代とはいえません)の設計については、それは歩合給であり、売上は所定労働時間、時間外を通じて上げるものだから、所定内の対価が混ざっており、明確区分性を欠くという主張がされることもあります。しかし、そのような事情だけでは、明確区分性を欠くとはされるわけではありません。売上の〇%というのは計算方法の問題にすぎず、このような計算方法を採用しているからといって、所定内の対価が混ざっていると評価されるものではありません。

上司とトラブルが絶えない従業員に対する退職勧奨が違法とされた例前のページ

シフト制従業員とのシフト決定のやりとりの失敗が会社敗訴の原因に!東京地裁の判断次のページ

ピックアップ記事

  1. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  2. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  3. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  4. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  5. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    出勤停止の懲戒処分通知書を従業員が返送した場合の効力

    東京地裁R6.4.24出勤停止の懲戒処分を受けた銀行職員が通知書を受…

  2. 判例・裁判例コラム

    注意指導を受けている最中に、その様子を無断録画した職員の解雇

    東京地裁R6.10.24学校法人が社会科の教員を解雇。①校内で入試の…

  3. 判例・裁判例コラム

    中古車買取店の店長が管理監督者にあたるかが問題になった事案

    岐阜地裁R6.8.8中古車買取店の店長が時間外労働割増賃金を請求→店…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    業務日報で始業・終業時刻を報告させていても、事業場外労働のみなし制を適用できる?…
  2. 判例・裁判例コラム

    東京地裁R7.9.10
  3. 判例・裁判例コラム

    65歳以降の従業員の雇止めは65歳までの雇止めとどう違う?
  4. 判例・裁判例コラム

    産休からの復帰に際し、週5勤務から週1勤務に変更することを提案したことが適法とさ…
  5. 判例・裁判例コラム

    試用期間中に2回の事故を起こし、ミスも改善されない従業員を実働10日で解雇した事…
PAGE TOP