判例・裁判例コラム

職種限定でも解雇回避努力は必要!客室乗務員の整理解雇を東京高裁が有効と判断した理由。

東京高裁R3.12.22
外資系航空会社が経営統合の過程で日本における拠点を閉鎖し、客室乗務員を整理解雇。乗務員は整理解雇の無効を主張した
→本件のような整理解雇の場面で、使用者は、解雇回避努力の一環として、職種限定契約を締結している労働者に対して、労働契約上の限定範囲を超えた配置転換その他の提案を行うことが求められる。この点、本件で、会社は解雇に先立ち、乗務員らの同意を前提とする地上職への配置転換を提案しており、解雇回避措置として合理的なものであるといえる。人員削減の必要性、被解雇者選定の合理性、解雇手続の相当性も問題なく、解雇は有効と判断。

職種限定契約でその職種がなくなったときに会社が採るべき対応について参考になる判断が示されています。
職種限定契約でも職種がなくなったからといってすぐに解雇に進むのではなく、「他職種への配置転換の提案」を行うことが必要です。
そして、ここで求められるのはあくまで「提案」であって、「配置転換命令」ではありません。職種限定契約の場合、解雇回避のためであっても、契約外の職務への配置転換を命じることはできません。最高裁R6.4.26(滋賀県社会福祉協議会事件)でこの点が判示されています。

人事考課に基づく降格・賃金減額の有効性前のページ

「解雇を避けるため」でも許されない?職種限定合意はどこまで会社を縛るのか【令和6年最高裁判断】次のページ

ピックアップ記事

  1. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  2. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  3. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  4. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  5. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用の期待外れ解雇は有効?東京地裁の判断事例。

    東京地裁R4.2.22 欧州連合が日本で広報担当者を雇用したが、上司…

  2. 判例・裁判例コラム

    月額給与76万円→59万円に大幅減額された従業員が訴訟を提起!東京地裁の判断!

    東京地裁R7.3.13 管理職から非管理職への降格により月額給与を7…

  3. 判例・裁判例コラム

    懲戒解雇の通知後に行った予備的普通解雇が無効とされた事案

    東京地裁R3.6.25職務怠慢やハラスメントを理由に従業員を懲戒解雇…

  4. 判例・裁判例コラム

    教頭を侮辱的な言葉で非難する教員に対する懲戒処分

    東京地裁R6.6.27高校の教員らで組織する組合の執行委員長を務めて…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    部下の上司に対するハラスメントについての懲戒処分
  2. 判例・裁判例コラム

    就業時間中にコンビニ駐車場で自社車両に向かって放尿し、目撃者から苦情があった運転…
  3. 判例・裁判例コラム

    仕事がないから自宅待機を指示。賃金6割でよい?福岡地裁の判断
  4. 判例・裁判例コラム

    無断で“自分の給料を1億円増額”――事務局長の不正はどこでバレた?東京地裁が懲戒…
  5. 判例・裁判例コラム

    給与担当者が情報を他の職員に漏らしたことに対する叱責がパワハラにあたるとされた事…
PAGE TOP