判例・裁判例コラム

解雇事由調査のための休職命令と賃金支払義務

東京地裁R3.5.28

会社が解雇理由の調査のために従業員に休職を命じ、その期間、休業補償として6割のみを支給。休職命令の42日後に解雇。従業員が残り4割の支払いを求めた
→解雇理由が在籍中の競合他社設立による競業避止義務違反であること、会社の主張によれば顧客が会社商品の購入に合意しているのに会社には低額でしか売れないと虚偽の報告をして自身の設立会社に横流しすることを反復継続して会社に損害を与えたことなどからすれば、会社が解雇が妥当かを調査するために休職を命じたのは合理的。民法536条2項の「責に帰すべき事由」にはあたらず、労基法26条により平均賃金の6割を支払えば足りると判断

1年単位の変形労働時間制を定める就業規則の不備前のページ

産業医がいる会社の復職可否判断次のページ

ピックアップ記事

  1. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  2. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  3. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  4. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  5. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    作業中にスズメバチに刺された事故は使用者の安全配慮義務違反?

    東京地裁R5.9.29公園の植栽管理に従事する職員がスズメバチに刺さ…

  2. 判例・裁判例コラム

    始業前の制服への着替え時間が労働時間にあたることが否定された事例

    東京地裁R5.4.14ビルにおいて設備機器の操作・保守を行う設備員が…

  3. 判例・裁判例コラム

    労働者の適性を判断する試用目的での有期雇用契約

    東京地裁R6.9.26広告代理店が人材紹介会社から紹…

  4. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大阪地裁R6.3.27)

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    外国人技能実習生の指導員について事業場外労働のみなし労働時間制の適用を否定した高…
  2. 判例・裁判例コラム

    送別会帰りのタクシーでのセクハラについて会社は使用者責任を負う?
  3. 判例・裁判例コラム

    覚醒剤使用で懲戒解雇された従業員の退職金不支給についての判断事例
  4. 判例・裁判例コラム

    役職手当を固定残業代と定める規定の有効性
  5. 判例・裁判例コラム

    製造業で年収800万円の部長の管理監督者性
PAGE TOP