東京地裁R6.9.26
広告代理店が人材紹介会社から紹介された労働者を雇用。契約期間を「入社日から1年間」と記載し、「契約を更新することがある(正社員登用制度有)」とする労働条件通知書を交付した。1年後に会社はこの労働者に1年契約での更新を提示したが、労働者は正社員登用されないのは不当と主張
→会社は、正社員として採用する者に対しても、原則として最初の1年間は契約社員とし、この期間が経過した時点で適任と認められた者に限り、正社員として雇用するという採用方法をとっていた。
そして、内定通知の面談の際、人事局長は、この労働者に対し、雇用契約における1年間の期間の定めは試用期間を設けるもので、1年後には正社員となると説明した。労働者はこれを踏まえて内定を受諾している。
これらの事情からすると、本件雇用契約における1年間の期間の定めについては、契約の存続期間ではなく、試用期間であると解するのが相当。
よって、採用時に1年間を試用期間とする無期の労働契約が成立していると判断。
労働判例ジャーナル156号
企業側から見たポイント
試用期間を設定するよりは、最初は有期雇用にしたほうがよいなどと言われることもありますが、そのような対応が必ずしもリスク回避につながるとはいえないことを示す事例です。
本件では有期雇用契約の更新で合意に至らなかったので、会社は雇用を終了しましたが、訴訟で会社は無期の雇用契約が継続していることを判決で確認され、会社の対応により従業員が就業できなかった期間の賃金として600万円を超える支払(バックペイ)を命じられました。
会社は控訴しましたが、高裁でもこの判断が維持され、バックペイがさらに増えることになりました。
関連する最高裁判決として、
「使用者が労働者を新規に採用するに当たり、その雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、右期間の満了により右雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であると解するのが相当である。」
とした最高裁判決平成2年6月5日があります。





