判例・裁判例コラム

実質個人経営の居酒屋を経営する会社代表者の責任

東京地裁R5.3.23

居酒屋で勤務する33歳の従業員が突然死
→死亡前6か月の時間外労働は平均144時間を超えており、過重労働が原因と言える。実質的に代表者と亡くなった従業員のみの個人経営の会社にすぎず、代表者は従業員を直接指揮監督する立場にあったのだから、労働時間が過度な長時間にならないように、他の従業員を雇用する、営業日または営業時間を減らすなど、従業員の健康に十分配慮すべき注意義務があった。それにもかかわらず、漫然と継続的に長時間労働をさせていたのであり、代表者には従業員の死亡について、不法行為責任が認められる。代表者の個人責任を認め、会社と連帯して7000万円超の賠償義務を負うと判断

自宅待機状態を続けさせたことが違法な退職勧奨であるとされた事例前のページ

パワハラ被害について自ら対応し、会社による対応を希望しないと言われた場合の使用者の義務次のページ

ピックアップ記事

  1. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  2. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  5. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    通勤中の電車内で盗撮行為を行った課長を懲戒解雇した事案(控訴審)

    名古屋高裁R7.3.25課長が通勤中の電車内で口を開いたリュ…

  2. 判例・裁判例コラム

    送別会帰りのタクシーでのセクハラと会社の使用者責任

    東京地裁R5.5.29上司の送別会の帰りのタクシーで上司が部下の女性…

  3. 判例・裁判例コラム

    熱中症で亡くなった従業員の遺族からの損害賠償請求

    福岡地裁小倉支部R6.2.13従業員がサウジアラビア出張中の屋外作業…

  4. 判例・裁判例コラム

    雑に作成された退職時の秘密保持誓約書が無効と判断された例

    東京地裁R6.2.19退職する従業員に、「退職後3年間は、貴社所属時…

  5. 判例・裁判例コラム

    作業中にスズメバチに刺された事故は使用者の安全配慮義務違反?

    東京地裁R5.9.29公園の植栽管理に従事する職員がスズメバチに刺さ…

  6. 判例・裁判例コラム

    通勤中の電車内で盗撮行為を行った課長を懲戒解雇した事案

    名古屋地裁R6.8.8課長が通勤中の電車内で口を開いたリュッ…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    長距離トラックの運転手が、高速道路の路肩やコンビニエンスストアの駐車場等で駐車し…
  2. 判例・裁判例コラム

    約半月にわたる無断欠勤について労働者が賠償を命じられた事例
  3. 判例・裁判例コラム

    犯罪を犯したとして起訴され、起訴休職期間満了で解雇された職員が、不当な起訴であり…
  4. 判例・裁判例コラム

    232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?
  5. 判例・裁判例コラム

    会計資料の外部提供は「会社の重大な機密を社外に漏らしたとき」の懲戒解雇事由にあた…
PAGE TOP