判例・裁判例コラム

大声で非難する発言を理由とするけん責処分

東京地裁R6.6.27

学校法人において、養護教諭の業務負担が過剰であるとして労使間の意見対立が生じていた中で、朝の打ち合わせで校長が養護教諭の増員はすぐにはできないと発言。これに対し、教員が大声で、「みんないいのかよぉ、これでよぉ。」「大丈夫?学校守ってくれないんだよ。」と発言。校長から「大きい声を出さないでください。」などと注意を受けたにもかかわらず、他の教員と共に大声で「あなたが偉いんでしょ。あなたが一番偉いんじゃないですか。」などと校長を非難した。教員のこれらの発言について学校法人は譴責の懲戒処分をした
→「大きい声を出さないでください。」などと制止したことは、注意指導であり、業務命令であるとまでは認められないから、その後大声を出したことが業務命令に対する不服従の懲戒事由にあたるとはいえない。しかし、職場の規律を乱す行為であるから、「風紀を乱し、素行不良のために他に悪影響を及ぼすおそれのあるとき」の懲戒事由に該当する。教員は養護教諭の業務負担を軽減するよう訴える発言であるから懲戒事由に該当しないと主張するが、行為の目的や内容が正当であっても、大声を出すことが許されるということはない。譴責処分は有効と判断。

相手を論破するような話法を多用する新入社員の解雇前のページ

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