判例・裁判例コラム

職場内で秘密録音したデータを民事訴訟の証拠として利用できる?

東京高裁R5.10.25
歯科医院に勤務する職員が、理事長が院内で自身の悪口を言っている疑いをもち、院内の控室に秘密裏にボイスレコーダーを設置。理事長に対する訴訟でこの録音を自身に対するハラスメントの証拠として提出した。

→従業員の誰もが利用できる控室で会話を秘密録音する行為は、他の従業員のプライバシーも含め、第三者の権利・利益を侵害する可能性が大きく、相当な証拠収集方法とは言えないが、著しく反社会的とまではいえないから、証拠から排除されない。理事長が、職員について育ちが悪いとか、家にお金が無いなど、職員を揶揄する会話が録音されており、職員が耳にすることを前提とした会話でないことを踏まえても、理事長の地位・立場を考慮すれば、他の従業員と一緒になって職員を揶揄する会話に興じたことは不法行為にあたる。賠償命令。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  2. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  3. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  4. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  5. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    リハビリ勤務の規定をおけばリハビリ勤務を認める義務がある?

    大阪地裁H26.7.18会社が双極性障害等で3回目の休職をしていた休…

  2. 判例・裁判例コラム

    労働者の適性を判断する試用目的での有期雇用契約

    東京地裁R6.9.26広告代理店が人材紹介会社から紹…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    自宅待機状態を続けさせたことが違法な退職勧奨であるとされた事例
  2. 判例・裁判例コラム

    退職勧奨を拒否した従業員にのみ在宅勤務を認めず、在宅勤務用パソコンを返却させたこ…
  3. 判例・裁判例コラム

    うつ病での服薬治療等のみを理由とする退職勧奨が違法とされた事案
  4. 判例・裁判例コラム

    長時間労働者に早く帰宅するように指導しても帰らない場合に会社がとるべき対応
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大阪地裁R6.3.27)

    判例・裁判例コラム

    232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
PAGE TOP