判例・裁判例コラム

アルバイトをシフトに入れなかった使用者の責任

東京地裁R6.3.26

コロナ禍で休業していたラーメンチェーンが営業を再開。ラーメンチェーンに雇用されていたアルバイト従業員らが、コロナ明けの営業再開後もシフトに入れられなかったなどとして、その期間の賃金の支払いを求めた

→アルバイト従業員らとの労働条件通知書では、勤務する店舗や日数、時間帯を特定することなく、「別途シフト表を提出の上、個別に定める。」と定めるのみ。これを踏まえれば、会社が一定日数あるいは一定時間数のシフトを割り振る義務はないし、休業前に週6日勤務が通例化していたとしても、この点が変更されたとはいえない。会社は、営業再開後、訴訟を提起したアルバイト従業員らをシフトに組み込んでおらず、その後にこのアルバイト従業員らに複数の店舗での勤務を打診したが、従業員らは総労働時間数の少なさや店舗の立地等、様々な理由を挙げてすべて断ったのであるから、そのことにつき会社の責めに帰すべき事由があるとはいえない。賃金請求認めず。

労働判例ジャーナル155号56ページ

労災認定されたが損害賠償責任は否定された事例前のページ

通勤中の電車内で盗撮行為を行った課長を懲戒解雇した事案次のページ

ピックアップ記事

  1. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  2. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力

    東京地裁H31.3.25 派遣会社が、就業規則で退職後に自社の機密情…

  2. 判例・裁判例コラム

    公益通報の9か月後にされた配転命令は適法か?

    宇都宮地裁R6.1.12公益通報後の配置転換の違法性従業員数約200…

  3. 判例・裁判例コラム

    セクハラ被害の訴えと休職期間の満了

    東京地裁R6.11.14食品販売会社が精神疾患で休職していた…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    定年後再雇用の2年目に1年目よりも大幅に切り下げた労働条件での雇用を提示した事案…
  2. 判例・裁判例コラム

    20年以上勤続のドラッグストア店長が4201円の不正取得等により懲戒解雇された事…
  3. 判例・裁判例コラム

    些細なミスを広範に注意した後の能力不足解雇
  4. 判例・裁判例コラム

    特許事務所が入所時に従業員に提出させた競業避止義務の誓約の効力についての判断事例…
  5. 判例・裁判例コラム

    会社はどこまで注意喚起すれば安全配慮義務を果たしたといえる?
PAGE TOP