東京地裁R7.5.29
ハラスメントで9290円の減給の懲戒処分を受けた従業員が減給額が労基法91条の上限額を超えていると主張した
→労基法91条により、減給の懲戒処分は、1回の額が、平均賃金の1日分の半額を超えてはならない。平均賃金は労基法12条1項により、算定すべき事由が発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割って計算される。本件では、減給処分が4月17日にされており、給与は当月末締め当月20日払いであるから、1月支給分~3月支給分をもとに平均賃金を計算すべき。法人の計算は、①2月支給分~4月支給分をもとに計算し、②3月支給分に含まれていた6か月分の通勤交通費は、3か月分に相当する額のみ算入すべきところを全額算入し、③月給制にもかかわらず、労基法12条ただし書を適用して労基法12条1項1号によって算出した額を平均賃金とした誤りがある。労基法上の減給上限額は6143円であり、減給の懲戒処分のうち減給の額が6143円を超える部分は無効であると判断
減給処分の上限の計算の誤りで違法とされるのはプロとして絶対に避けたい失敗ですね。
しかし、現実には、減給処分における減給額が労基法の上限を超過していると指摘されて違法とされた裁判例は、多数あります。 本件では、特に、3月支給分に含まれていた6か月分の通勤交通費をそのまま算入してしまっていた点が誤りと指摘されており、実務上、留意が必要だと思いました。
6か月定期券については各月分の前払いとして平均賃金に算入すべきとした通達があり、ポストの裁判例も3か月分に相当する額のみ算入すべきとしています。
この裁判例を踏まえると、ポストの法人のように6か月分を全額算入したり、逆に労基法12条4項を適用して、全額算入しないことは誤りということになります。
昨日ポストした裁判例のうち、労基法の上限に違反するとした判断の部分をとりあげました。
減給処分の法律上の限度額の計算方法については以下もご参照ください。
https://kigyobengo.com/media/useful/870.html





