東京地裁H28.3.28
大企業が大学院卒勤続12年の正社員を能力不足を理由に解雇。他の従業員より業務量が少ないため上司が業務を増やそうとしても自分は能力がないと言って拒否、業績改善プログラムの実施も拒否、上司との面談を避ける、会議への不参加、業務中の就寝、ジーパン・サンダル等で執務して注意を受けても改めない等の問題があった。
→新たな業務に対して消極的であったとしても、そのような態度を続けると業務命令違反であるなどとして明確な指示がされていたとまでは認められない。業務量が少ないとしてもその業務内容自体には問題があるとは認められない。そのほかの問題行動は解雇事由となるほど重大なものとはいえない。職種や勤務地の限定があったとは認められないことなどからすると、その適性に合った職種への転換や業務内容に見合った職位への降格、一定期間内に業績改善が見られなかった場合の解雇の可能性をより具体的に伝えた上での更なる業績改善の機会の付与などの手段を講じることなく行われた本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないから、権利濫用として無効というべきであると判断