東京地裁R7.3.13
部長にメールの文章が長いと注意された管理職が「職務上の立場を盾にした単なる強要です。パワハラに該当する可能性があります。」「能力について尊敬できる点がほとんどありません。もう少し社会人としての能力をあげてください」と部長にメール。その後、部長と会話した際に、乱暴な発言をした直後に謝罪した部長に対し、さらに「先程、私に対して誤った口の聞き方をされ、直ぐにお詫びされていましたが、次回は、見逃すつもりも許すつもりもありません。人として偉いわけではないので勘違いなきよう宜しくお願いいたします。人権に関わる重要事項ですので注意喚起いたします。治らなければ、“侵害者”に対する会話等、全て記録を取りますので予め申し上げます。」とメールした
→上司を不必要に高圧的な言葉で非難し、その能力及び人格をおとしめるものであり、職場の秩序を乱すもの。「素行不良で職場の風紀、秩序を乱したとき」の懲戒事由にあたると判断
パワハラ主張を絡めた上司に対する暴言、無礼、威圧への対応、些細な対応の不手際にも「人権問題だ」と騒ぐ部下への対応といった場面で参考になる判断だと思います。本件のような暴言は懲戒事由になります。しかし、実際の現場では、パワハラ主張が絡む言動に対して、懲戒することをためらうこともあるように思います。
確かに、パワハラを主張したこと自体について懲戒することは、違法・無効となることが通常と考えられます。しかし、パワハラを主張する際に上司に対する暴言、無礼、威圧を伴う場合に、その点を懲戒することは別問題です。そういった言動に対してはきちんと懲戒しておくことが企業秩序を守ると西川は考えます。






