判例・裁判例コラム

メールをそのまま転送した部下に対して厳重注意はパワハラ?東京地裁の判断

東京地裁R5.12.7
上司の叱責に対して皮肉めいた返信をするなどして上司とトラブル状態にあった従業員が、上司に対して情報共有を目的として自分あての3通のメールをそのまま転送。
上司は、社長、副社長、営業本部長をCCに入れて、メール転送の意図について説明を求め、
「上司に会議参加可否の確認をするなら、そのような文面できちんと書いてください。〇〇さんには私の時間を決める権利がありませんので、ちゃんと理解して下さい。そして、会社員として、社内メールのマナーを学習して下さい。
〔1〕本文無しで意味不明のメールをやめてください。
〔2〕相手の宛名と呼び方を分からないなら、聞いてください。
〔3〕本文のタイトルに関連性がないメールをやめてください。
〔4〕相手のメールボックスを汚してはいけないことを常に考えるようにしてください。
〇〇さんの勤務態度にはとても問題を感じますので、本日は上記の厳重注意を出します。何度も勤務態度の改善を要請しておりますが、改善が見られない場合は訓戒警告を出します。」
と記載したメールを送信
→メールを転送する際にその理由の説明を付記するよう指示することは、上司として適正な業務の範囲であると考えられるが、このような厳重注意や懲罰の警告は、メールを転送した理由が不当なものであると一方的に断定して非難している点で手続的に相当性を欠くのみならず、その内容自体も過剰なもの。パワハラにあたると判断。

厳重注意や懲罰の警告は、本人から事情を聴いたうえで行うべきことで、そのようなプロセスを経ないまま、厳重注意や懲罰の警告を持ち出して一方的に叱責することは、指導の必要性、相当性の範囲を超えるものであり、パワハラにあたるとされることがあります。また、懲戒事由にあたらないのに、誤認に基づく叱責をしたとして、パワハラにあたるとされることもあります。さらに、ポストの事案では、叱責の内容自体も過剰でした。
他の参考例として、https://nishikawa-lawyer.com/676/ があります。

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