東京地裁R7.12.5
従業員が、パワハラと退職勧奨によって体調が悪化したとして欠勤開始。
その後うつ状態で3か月間の休養が必要とする診断書と休職届を提出した。
会社はパソコンの返還を命じ、従業員は返還に応じたが、会社にパスワードを教えなかった。 その後も従業員は3か月おきに診断書と休職届を提出。 しかし、休職から約1年が経過した後、新たな診断書や休職届を出さなくなり、そのまま欠勤を続けた。
会社はその約10か月後にこの従業員を無断欠勤を理由に懲戒解雇。 就業規則には「正当な理由なく無断欠勤14日以上に及び、出勤の督促に応じないとき 」を懲戒解雇事由とする規定があった。 従業員は不当解雇であるとして訴訟を提起
→従業員は診断書を提出しなくなった後も欠勤を続け、その間、月に1回に満たない頻度での通院しかしていないものであって、精神的な不調により就労が困難であったことを認めるに足りる証拠はない。
また、従業員は、会社代表者のパワーハラスメントによりうつ病に罹患し欠勤に至ったから、欠勤には正当な理由があると主張するが、従業員が正当な理由なく業務指示に従わなかった場面での指導であり、不法行為とはならないから、この主張は採用できない。したがって、従業員は、診断書や休職届を出さなくなった後は、正当な理由なく欠勤を続けたものであって、これは就業規則の懲戒解雇事由の「正当な理由なく無断欠勤14日以上に及び」にあたる。
しかしながら、会社がこの無断欠勤に対して、「出勤の督促」をしたとは認められない。この点、会社は、無断欠勤の態様が重大かつ悪質であることや従業員はうつ状態と診断された診断書を提出しており、出勤の督促をすれば病状を悪化させる懸念があったことから、「出勤の督促」をしたと認められない場合であっても、就業規則の懲戒解雇事由にあたると主張する。しかし、就業規則の懲戒解雇事由は、無断欠勤の事実と出勤の督促とを別の要件として定めており、無断欠勤の態様をもって「出勤の督促」の要件を充足すると解することはできない。また、本件懲戒解雇の時点で出勤の督促により従業員の病状が悪化する可能性が具体的に存在したとは認められず、その他出勤の督促をしないことがやむを得なかったと認めるべき事情は見当たらない。
よって、会社の主張は採用できない。懲戒解雇無効と判断。地位確認請求を認容し、就労可能日以降のバックペイの支払命令。





