判例・裁判例コラム

協調性欠如などの問題がある従業員に年賀状の宛名シール貼りを1日1000枚のペースで行うように命じたことは不法行為?

東京地裁R5.10.25
協調性や事務処理の効率性に問題があり、これらの点について具体的に指摘されたにもかかわらず改善できていなかった、勤続2年目の従業員に対し、上司が年賀状の宛名シールの貼り付け作業を1日1000枚のペースで行うように命じた。従業員はこれが肉体的精神的苦痛を与える業務を命じたものであり、不法行為であると主張。
→たしかに、この作業は以前は複数の従業員で手分けして行っていたものであり、それにもかかわらず、1人にのみに行わせ、しかも従業員から手首と肩がきついので、1日700枚のペースでも大丈夫かとの問い合わせがあったのに上司は何の応答もしなかったのだから、配慮が足りない面があることは否定できない。しかしながら、現に従業員は1日700枚のペースで作業を続け、上司もそれに異論を唱えていないことからすると、従業員から作業軽減の申出があったにもかかわらず、上司が1日1000枚のペースで貼り付け作業を行わせ続けたとまでは認められない。したがって、配慮が足りない面はあるものの、年賀状シールの貼り付け作業を行わせたことが不法行為を構成するとまではいえないと判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  2. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  3. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  4. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  5. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    休職について説明したにすぎず休職を命じていないとされた事例

    大阪地裁H25.1.18バス会社の従業員が通勤中の交通事故で負傷し、…

  2. 判例・裁判例コラム

    わずか4201円でも懲戒解雇は有効 …店長の“売上操作”に裁判所が判断

    東京地裁R6.1.25100店舗を超えるドラッグストアを経営する会社…

  3. 判例・裁判例コラム

    半期ごとの業績評価により賃金を最大2割減額する規定の効力

    東京地裁R6.8.8半期(4〜9月、10月〜3月)ごとに成績評価をす…

  4. 判例・裁判例コラム

    妊娠中でも解雇は有効?“違法ではない”とされた東京高裁の判断

    東京高裁H28.11.24 会社が妊娠中の従業員を解雇→会社は妊娠が…

  5. 判例・裁判例コラム

    「“法定休日を決めていない会社”は35%払わなくていい?」東京地裁の結論!

    東京地裁R5.12.7 従業員が休日出勤した際の割増賃金が支払われて…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    年俸制における賃金減額にはどのような規定が必要か?東京地裁の判断
  2. 判例・裁判例コラム

    郵便局職員の制服への着替え時間は労働時間?
  3. 判例・裁判例コラム

    美容師の退職後の競業避止義務違反に6万円の賠償命令!東京地裁の判断の理由とは?
  4. 判例・裁判例コラム

    覚醒剤使用で懲戒解雇された従業員の退職金不支給についての判断事例
  5. 判例・裁判例コラム

    作業中にスズメバチに刺された事故は使用者の安全配慮義務違反?
PAGE TOP