判例・裁判例コラム

ドライバーに売上の15%を支払う歩合給。売上は会社が決定するから出来高払制賃金にあたらない?札幌地裁の判断!

札幌地裁R8.3.25
ドライバーに売上の15%を歩合として支払っていた会社でドライバーらが割増賃金請求訴訟を提起。
歩合が労基法の出来高払制賃金にあたるかが争点の1つとなった。会社は、歩合は労基法施行規則19条6号の出来高払制賃金にあたり、その部分については0.25の割増率で時間外手当を算定すべきであると主張した。
→出来高払制賃金とは、労働時間ではなく、労働者が現に行った仕事の成果に応じて定められた賃金を意味するところ、本件の歩合は「売上(荷主からの収受運賃から高速代、フェリー代を控除した額)」に所定の割合をかけて算出されるものであり、出来高払制賃金に当たると認められる。
この点、ドライバーらは、売上は会社が独自に決定するものであり、ドライバーらの作業量や運転距離と一致するものではないから、出来高払制賃金には当たらないと主張するが、会社が独自に売上を操作していると認めるに足りる証拠はないし、ドライバーらの作業量や運転距離との厳密な比例関係が求められるものでもない。
また、ドライバーらは、出来高払賃金に当たる場合には、労働基準法27条の保障給の支払が必要になるはずであるとも主張するが、 本件では、歩合とは別に、基本給として1日当たり6092円、旅費日当として1日当たり1500円が支給されており、実質的に労働時間に応じ一定額の賃金が保障されている。
したがって、歩合については、出来高払制賃金として時間外手当を算出するのが相当であると判断

企業側から見たポイント
サカイ引越センターの事件では、運転手の賃金のうち、売上に連動する形で設定された業績給について、「売上額は営業職と顧客との交渉により決定され、現業職の労働の成果と必ずしも連動しない」「現業職の自助努力が反映される賃金とはいい難い」として、出来高払制賃金にはあたらないとされました。
参考:サカイ引越センター事件 (控訴審を経て最高裁に係属中)https://x.com/nobunobuno/status/1815136126627438645?s=20
しかし、これはすべての裁判官が同じ考え方をとっているわけではなく、下記ポストの裁判例のように、売上連動型の歩合給について出来高払制賃金であることを認める考え方をとっている裁判官も多いと感じます。出来高払制賃金かどうかの判断基準について、最高裁の明確な判断が早くほしいところです。咲くやこの花法律事務所でも、運送業の未払い残業代請求の事件について企業側の立場で依頼を受けることは多いですが、出来高払制賃金にあたるかどうかを、サカイ引越センター事件と同じ考え方で判断した裁判官はいなかったように感じています。

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