判例・裁判例コラム

定年後再雇用。契約更新時に週5勤務を週3勤務に変更された職員が提訴!福岡地裁の判断

福岡地裁柳川支部R8.3.9
60歳で定年退職した高校教諭らが、定年退職後再雇用制度により、1年目、2年目はフルタイム(週5日)の有期雇用で勤務。
しかし、学校法人は、3年目になる令和6年度以降、週5勤務での雇用契約の更新をせず、週3勤務に変更。
これに対して、教諭らが週5勤務の教諭としての地位確認を求めて訴訟を提起
→本件高校では、平成29年度から令和5年度までは、定年後の教員について週5勤務を希望すればその希望どおりの処遇がなされていた。教諭らにおいて、令和6年度以降についても、有期労働契約が更新されると期待することについて合理的な理由がある。そして、上記のような運用が相応の期間にわたっていたことからすると、教諭らにおいて、令和6年度以降も、週5勤務による契約の更新を期待することについても、一定の合理性がある。
学校法人が教諭らに対して週5勤務による契約の更新をしなかったのは、若手教員の採用を促すとの方針によるものであるが、上記のように従前の運用を変えることについて、事前に組合や教員との間で協議がなされた形跡はない。勤務日を週5日から週3日に変更することは、相応に大きな労働条件の変更であり、特に週5勤務を選択して一度の契約更新を経ている教諭らにとっては、その生活設計にも影響を及ぼすものであること、学校法人が言う若年層への移行については抽象的な必要性は理解できるものの、その必要性の程度は判然とせず、法人内部でどういった検討がなされたかも不明であることなどを踏まえると、本件において教諭らとの週5勤務による契約の更新をしなかったことについて、客観的に合理的な理由があるとはいえず、社会通念上相当であるとも認め難い。
以上によれば、教諭らについては、従前の労働条件(週5勤務)と同一の労働契約が更新されたものとみなされる。
週5勤務の嘱託職員としての雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認し、令和6年4月以降の週5勤務と週3勤務の差額について支払いを命じた。

企業側から見たポイント
定年後再雇用した後に勤務日数を減らす変更が認められなかった事案です。
ポストの例のように、定年後に有期雇用した後の更新のタイミングで再雇用者の勤務日数を減らしたいというご相談をいただく例もあります。
しかし、特に65歳までは本人の同意がなければ勤務日数を減らすことは簡単ではないです。
65歳までの間は、通常は雇止め法理が適用され、その結果、労働契約法19条により、原則として同一条件での更新が強制されるためです。 労働契約法19条は「従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。」としています。
定年後に勤務日数を減らすなら、定年直後の最初の有期雇用契約を締結する際のタイミングで行うべきです。このときだけが比較的広範に変更が許容されるタイミングです。
一度有期雇用した後に減らすというのは難しいと考えておくべきです。
他の参考事例:https://x.com/nobunobuno/status/2051799102896148530?s=20

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