東京地裁R8.1.29
出版社が従業員を採用。
雇用契約書で勤務場所を「編集部」とし、勤務内容を「編集企画業務」と記載。
しかし、入社の7年後に編集者としての能力に問題があるとして、総務部への配転命令を発令した。
従業員は代理人弁護士を立てて異動を拒否し、配転命令の撤回を求めたが、会社は、配転命令に従わずに欠勤を続けたことなどを理由に従業員を懲戒解雇。
→従業員は入社前から約20年にわたり編集業務の職歴をもち、その働きぶりを評価した当時の編集部長の強い推薦で入社した。
これらの雇用契約の締結に至る経緯を踏まえると、会社が雇用契約の締結にあたって、業務内容を「編集企画業務」と記載したのは、従業員を編集企画業務のみに従事する編集者として雇用する意思であったものと推認される。
また、従業員も編集企画業務以外の業務に従事することは想定せずに労働契約書に署名及び押印をしたものと認められる。
よって、両者の間に、業務内容を編集企画業務に限定する職種限定合意が成立したものと認めるのが相当である。
会社は、その後、配転条項のある就業規則を周知したが、職種限定合意が認められる以上、この従業員には適用されない(労働契約法10条ただし書類推適用)。
よって、総務部への配転命令は無効であり、懲戒解雇も無効と判断
この事例のように、一度、職種限定の雇用契約が成立すると、後から、配転条項のある就業規則を周知しても、配置転換はできないことが通常です。
その限定された職種について能力不足などの事情があっても、この点は同じです。
将来の配置転換の可能性を残すためには、求人情報や労働条件通知書でその点を明確に反映させておく必要があります。
企業としては、採用時の契約書作成と説明内容が、その後何年にもわたる人事権の範囲を決めることを意識しておく必要があります。





