鹿児島地裁R8.3.31
有期労働契約で雇用されていた職員が、正職員との不合理な待遇差について賠償請求。無期転換後も格差が続いているとして、無期転換後の不合理な待遇差についても賠償を求めた。
→不合理な待遇格差の禁止を定めた旧労働契約法20条は、有期契約労働者は、無期契約労働者と比較して、雇止めの不安があることによって合理的な労働条件の決定が行われにくく、両者の労働条件の格差が問題となっていたこと等を踏まえ、有期契約労働者の公正な処遇を図るため、有期契約労働者と無期契約労働者の労働条件について、期間の定めがあることにより不合理なものとすることを禁止したものである。
無期転換後の労働者については、雇止めによる不安があることによって合理的な労働条件の決定が行われにくいという状況は解消されている。
また、旧労働契約法20条とともに設けられた労働契約法18条1項は、無期転換後の労働条件について、別段の定めがなければ、契約期間を除き、有期労働契約時の労働条件と同一のものとする旨を規定しており、無期転換後においても、有期労働契約時に生じていた労働条件の相違が残る場合があることが想定される内容となっているが、無期転換後の労働条件に関し、旧労働契約法20条に相当する不合理な待遇格差の禁止の具体的な規定を設けてはいない。このようなことから、無期転換後の労働条件については、雇止めによる不安が解消されたことを前提に、労使交渉等を経て、決定されていくべきものと解される。
そうすると、旧労働契約法20条を無期転換後の労働契約に類推適用する基礎を欠く。パートタイム・有期労働者法8条も同様に類推適用できない。
したがって、無期転換後の労働条件の相違について、使用者が不法行為責任を負うと解することはできないと判断。
無期転換前の格差についてのみ賠償命令。
無期雇用と無期雇用の間の格差は同一労働同一賃金ルールの対象外ですが、
有期雇用の人が無期転換したときに、それ以降の期間は、不合理な格差が残っていても賠償を求めることができなくなるのかは議論があります。
有期時代の格差が無期転換後も残っている場合、無期転換後の期間の格差についても賠償の対象となるとした裁判例も複数あるところです。私の新刊「裁判例に学ぶ就業規則‐勝敗を分けて規定と整備の実務」でも解説しています。
これに対して下記の裁判例は比較的詳しく理由を示して、無期転換後に残る格差は賠償の対象外としましたので、とりあげてみました。
ただ、「無期転換後の労働条件については、雇止めによる不安が解消されたことを前提に、労使交渉等を経て、決定されていくべき」という判示にはあまり説得力がない気もします。。





