判例・裁判例コラム

「週1回休ませてほしい」という主治医の診断書。会社は認める義務がある?【東京地裁の判断】

東京地裁R7.10.20
従業員が、心療内科医作成の診断書を提出し、会社に週一回の病気休暇取得を求めた。
診断書には「自律神経失調症」とあり、「通常の明るさであってもまぶしさに耐えられない症状を呈している。週に一回休みを取り、体調を整えることが望ましい」と記載あり。
会社は、従業員に対し、産業医から主治医への情報提供依頼を行うことについて同意を求めるとともに、会社指定医の受診を求めたが、従業員はこれに応じなかった。
そこで、会社は、主治医への情報提供依頼を行うことに同意するか、会社指定の専門医への受診をするよう促すとともに、いずれもなされない場合には病状確認ができないため、健康上の問題があるとは認められないと判断せざるを得ないと従業員に通知。
これに対し、従業員は会社指定医を受診したが、会社が再三求めてもその診断書を提出せず、また主治医への情報提供依頼にも同意しなかった。
産業医は、従業員が度重なる会社の指導や産業医からの情報提供依頼に対して対応せず、また指定契約精神科医からの診断書を正当な理由なく提出しないことから、週1日休業の医学的根拠はないと判断するとして、従業員は「疾病利得状態」であるとの診断書を作成。
会社は、週1日の休業は正当な理由のない欠勤であるとして譴責処分を行った。
これに対し、従業員が正当な理由のない処分であると主張した。
→病気欠勤を認めるのが相当であるかを判断するためには、会社として従業員の心身の状態について正確に把握する必要がある。
しかし、従業員提出の診断書には、自律神経失調症の原因について記載がなく、症状も「通常の明るさであってもまぶしさに耐えられない」とするのみで、なぜ週に1日休みを取る必要があるのか具体的な記載がなかった。
そのため、産業医から主治医に対して情報提供依頼を行うことの同意を求め、又は、会社指定の専門医の診断書の提出を求めたことは相当である。
週1日の病気休暇を取得している従業員としては、会社が病気休暇の相当性につき判断するための情報を提供すべきである。
よって、従業員の主張は理由がないと判断。

土曜日アップした以下の動画もあわせてご参照ください。
https://youtu.be/I5cTKy7mXqY?si=sxorbFmqOEy05C8V

産業医が「疾病利得状態」とまで書いた背景には、「週1回休ませてほしい」と求めながら、主治医に対する確認を拒み続けた従業員の態度に対する強い不信感があったと思われます。
会社としては、主治医が「週に一回休みを取り、体調を整えることが望ましい」と記載した診断書が出されると、安全配慮義務のこともあり、主治医の診断内容に多少、疑問があっても、ひとまず休業を認めるということになりがちです。
しかし、この事案では、産業医の意見をもとに適切な対応ができており、参考になります。 従業員は、
・産業医の診断時の対応に不信が生じた
・産業医の診断書の記載も会社の考えを一方的に記載したもの
・産業医に対する不安をさらに募らせる状況を会社が創出した などとする主張もしましたが、裁判所はこのような主張を認めませんでした。
主治医の診断書が提出された場合であっても、その内容に合理的な疑問があるときは、産業医の支援を受けて病状の確認を行うことが重要ですね。

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