判例・裁判例コラム

在宅勤務の社員を突然「倉庫勤務」に…東京地裁が配転無効の判断【東京地裁R7.10.30】

東京地裁R7.10.30
梱包業、倉庫業を営む会社が取引先の広告関連業務を受託。
最初は派遣社員で対応していたが、この派遣社員を直接雇用して対応することにした。
その際、「万が一、このビジネスが終了する場合、当社の他のお仕事(デスクワーク)を提示させて頂きます。)」というメッセージを送信したうえで、雇用契約を締結。
雇用契約書において就業場所は「社内又は自宅」とされていた。
当時、コロナ禍であり、採用された従業員は基本的にリモートワークでこの業務に従事していたが、その後、受託業務が縮小し、この従業員の担当業務も終了。
直接雇用から約2年後に、会社はリモートワーク可能なデスクワークから、通常出勤が必要なピッキング、梱包等の業務への配置転換を命じた。
→職務限定の合意があったとは認められないが、この従業員に対してデスクワークを提示する旨を明言していたことなどからすると、配転命令に際しては新たな業務がデスクワークになると期待することについて合理的な理由があったと認められる。
そして、従業員の担当業務をデスクワークとすることに特段の支障があったとは認められないし、従業員の配置先を現業部とすべき業務上の必要性も見出し難い。
また、本件配転命令は現業部での勤務を命ずるものであるところ、現業部での業務内容はこれまで従事していた業務等とは大きく異なるものである上、従業員に事実上認められていたリモートワークも不可となるなど、従業員に与える影響も大きい。
これらの事情からすると、配転命令は、従業員に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものといえるから、権利の濫用に当たり無効であると判断

就業規則に企業の配転命令権が定められていても、従業員に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるような配転命令は、無効とされるというのが最高裁判例です。
東亜ペイント事件でこの点が判示されています。
ポストの事案は、事実上認められていたリモートワークができなくなる点を、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益の1要素として考慮しました。
リモートワーク→出社勤務の配転命令の場面で参考になる判断だと思います。
リモートワーク→出社勤務の配転命令はトラブルになる例も多いと感じます。
企業としてはこのような事案も出てくることを踏まえて、在宅勤務規程の整備が必要です。
厚生労働省から「テレワークモデル就業規則」が公表されていますが、西川としても、企業実務を踏まえた在宅勤務規程のモデル例をいずれ発表したいと考えております。

配置転換のトラブルについては以下でも解説していますので併せてご参照ください
https://kigyobengo.com/media/useful/3300.html

試し出勤中の遅刻・早退で試し出勤打ち切りの判断は違法?名古屋高裁の判断前のページ

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