判例・裁判例コラム

全国に点在する労働者の一斉解雇

東京地裁R3.12.21
全国に300店を擁する居酒屋チェーンが、コロナ禍で売上激減。約290店の閉店を決め、従業員を整理解雇。
→人員削減の必要性は高く、解雇回避のために現実に取りうる措置はほとんどなかったと認められる。しかし、会社は全国に点在する労働者を対象とした説明会を開くことが困難であり、時間的余裕もなかったとして、解雇予告通知書送付前に従業員に解雇予告の電話を入れただけでそれ以外に説明・協議をしなかった。説明会を開くことが困難だとしても個別の労働者との間で十分な説明・協議をする機会を設けることが必要。そして、本件原告は首都圏居住で説明したり協議したりする場を設けることが現実的に不可能だったとは考え難い。本件解雇には手続の妥当性が著しく欠けており、解雇無効と判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  2. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  3. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  4. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  5. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    半期ごとの業績評価により賃金を最大2割減額する規定の効力

    東京地裁R6.8.8半期(4〜9月、10月〜3月)ごとに成績…

  2. 判例・裁判例コラム

    教頭を侮辱的な言葉で非難する教員に対する懲戒処分

    東京地裁R6.6.27高校の教員らで組織する組合の執行委員長を務めて…

  3. 判例・裁判例コラム

    小規模企業の整理解雇では役員報酬の削減が必要?

    東京地裁R6.1.30製造業者が新たに訪問介護事業を開始したが、訪問…

  4. 判例・裁判例コラム

    懲戒処分前の弁明の機会付与に従業員側弁護士を同席させる義務はある?

    東京地裁R5.5.24懲戒解雇にあたり従業員に弁明の機会を付与。従業…

  5. 判例・裁判例コラム

    独自の休職基準を定める規定の効力

    東京地裁R6.9.25就業規則において、就労の可否は専ら使用者が指定…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    送別会帰りのタクシーでのセクハラと会社の使用者責任
  2. 判例・裁判例コラム

    適格退職年金から中退共への移行
  3. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用における能力不足解雇
  4. 判例・裁判例コラム

    暴力を伴うパワハラについて被害者の復帰までに加害上司を配置転換する義務があったと…
  5. 判例・裁判例コラム

    日常的な強い叱責がパワハラにはあたらないが安全配慮義務違反ありとされた事例
PAGE TOP