判例・裁判例コラム

職場内の人間関係を理由に休職者の復職を認めないことは可能?

大阪高裁H27.2.26
双極性障害による休職からの復職を認められなかった休職者が「職場内の人間関係を理由に復職を認めなかったことは不当である。人間関係の調整は会社が業務命令で実行すべきである」と主張。

→この従業員の休業は3回目であり会社は過去2回復職を実現させていること、その実績から見て社員間ではこの従業員の受入れに対する拒否感が強いと思われること、会社の人事総務部担当者らはこの従業員のリハビリ勤務の受入れを求めて相当程度の努力をしていること、職場における人員配置においては他の社員の意向を無視できないこと、業務命令等によって受入先の反対を押し切って強制的に配置したとしても反発が生じて人間関係上のストレスが避けられず従業員の病状改善に悪影響を与えると予想できることに照らすと、本件で会社が適切なリハビリ勤務の受入先を見つけることができなかったことには相当な理由があり、リハビリ勤務の受入れを実行しなかったことはやむを得ないと判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  2. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  5. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    有給取得取得予定日前日の時季変更権行使

    札幌高裁R6.9.13ホテルの宿泊部部長がハワイで挙行される娘の結婚…

  2. 判例・裁判例コラム

    休職期間満了による退職を6か月経過してから通知した事例

    東京地裁R6.5.28休職者が復職を希望したため、会社は復職…

  3. 判例・裁判例コラム

    退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力

    大阪地裁R7.1.27放課後デイサービスを提供する会社が就業規則で「…

  4. 判例・裁判例コラム

    ハラスメント調査への不服を経営陣らに送り続ける社員の解雇

    東京地裁R6.6.27 従業員が人事部に対してハラスメントの被害を申…

  5. 判例・裁判例コラム

    試用期間中に逮捕・勾留された従業員を解雇した事案

    東京地裁R5.11.16建設会社に試用期間6か月、月給116…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    就業規則に定められた定年延長手続をしないまま、定年後も勤務を続けさせた場合の判断…
  2. 判例・裁判例コラム

    部下3名(正社員1名、派遣社員2名)の部長の管理監督者性
  3. 判例・裁判例コラム

    犯罪を犯したとして起訴され、起訴休職期間満了で解雇された職員が、不当な起訴であり…
  4. 判例・裁判例コラム

    就業規則に休職期間の延長規定を設けた場合の効力
  5. 判例・裁判例コラム

    就業規則の変更によっては変更されない労働条件の合意
PAGE TOP