判例・裁判例コラム

就業規則の変更によっては変更されない労働条件の合意

東京地裁H12.2.8
会社が、1年間の有期雇用、賃金は年俸620万円の内容で雇用契約書を作成して従業員を雇用。しかし、会社の財政状況が急速に悪化したため、会社は、上記雇用期間の途中に賃金規則を改定し、成果主義に基づく賃金制度に改めた。そして、新賃金規則に基づき上記従業員の給与も減額した
→会社は経営破綻を免れ、従業員の勤労意欲を高めるために、成果主義に基づく賃金制度に改める賃金規則変更を行う必要性があったと認められる。しかし、上記従業員と会社は期間を1年とする雇用契約により、旧賃金規定の支給基準等にかかわらず、支払賃金額は月額36万5000円、年俸620万円の確定額として合意をしている。このような合意が存在している以上、会社が賃金規則を変更したとしてこれを契約期間の途中で一方的に引き下げることは、賃金規則の改定内容の合理性の有無にかかわらず許されないと判断。賃金未払いとして会社に支払命令

先輩看護師の新人看護師に対する「人間的に無理」という発言はパワハラ?前のページ

就業規則に定められた定年延長手続をしないまま、定年後も勤務を続けさせた場合の判断事例次のページ

ピックアップ記事

  1. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  2. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  3. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  4. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  5. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    無期転換後の賃金格差

    有期雇用者について無期雇用者との賃金格差が違法でも、無期転換権を行使…

  2. 判例・裁判例コラム

    営業担当者の採用失敗の手痛い失敗事例!東京地裁の結論!

    東京地裁R7.6.13法人が超富裕層向けの営業担当者を採用するために…

  3. 判例・裁判例コラム

    休職者が産業医の面談は圧迫面接だと主張した事案

    名古屋地裁R3.8.23うつ病による休職からの復職後、再度休…

  4. 判例・裁判例コラム

    部下3名(正社員1名、派遣社員2名)の部長の管理監督者性

    東京地裁R6.3.28太陽光発電システムの設計、販売等を事業とする会…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    支払いすぎた賞与を翌年の賞与から控除できる?
  2. 判例・裁判例コラム

    独自の休職基準を定める規定の効力
  3. 判例・裁判例コラム

    引越し会社で特定の作業をこなした場合に支給される業績給は労基法施行規則19条6号…
  4. 判例・裁判例コラム

    東京地裁R6.3.28
  5. 判例・裁判例コラム

    シフト制従業員とのシフト決定のやりとりの失敗が会社敗訴の原因に!東京地裁の判断
PAGE TOP