判例・裁判例コラム

先輩看護師の新人看護師に対する「人間的に無理」という発言はパワハラ?

東京地裁H28.10.7
看護科の看護師が、本来別の科が行うべき心電図用のシーツの準備をしたところ、先輩看護師から、本来看護科がやる仕事ではないので元に戻すように注意されたため「別に誰がやったっていいじゃないですか。くだらないです。いい加減にしてください」と反論。
先輩看護師はこんな反論する後輩は初めてだとぼやいていたところ、これを耳にした当人が「じゃあ、ここで出会ってしまいましたね。」などと言ったため、先輩看護師は「人間的に無理」と発言。看護師はこの先輩看護師の発言はパワハラにあたると主張
→互いに口論をしたという性質のもので一方的に相手の人格を否定するような発言をしたというものではないからパワハラに当たるとはいえないと判断

パワハラとは、
職場において行われる①優越的な関係を 背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③ 労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの要素を全て満たすもの
をいうと定義されています。
本件のような、互いに言い争いになっているような場面では、反論を受けて口論になっている以上、優越的な関係を背景とした言動とはいえず、パワハラに当たらないことが通常だと考えられます。
パワハラにあたる言動かどうかの判断については、以下の記事でも解説していますので併せてご参照ください。
https://kigyobengo.com/media/useful/2626.html

給与ダウンが不満で出勤拒否 →懲戒解雇は有効とされた判決前のページ

年俸制有期雇用者の賃金を賃金規則改定で減額できる?次のページ

ピックアップ記事

  1. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  2. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  3. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  4. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  5. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    部下の上司に対するハラスメントについての懲戒処分

    東京地裁R6.3.21上司に、自身のパソコンの画面を見られていると感…

  2. 判例・裁判例コラム

    1000円の着服をした運転手の退職手当1200万円超を全額不支給にした事案

    最高裁R7.4.17京都市交通局に勤務するバス運転手が運賃1000円…

  3. 判例・裁判例コラム

    東京地裁R6.3.28

    上場企業の総務部長が営業成績不良の営業社員に退職勧奨。営業社員は退職…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    基本給を最低賃金相当額としつつ200時間分相当の固定残業代を支給した事案
  2. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用における能力不足解雇
  3. 判例・裁判例コラム

    職場内の人間関係を理由に休職者の復職を認めないことは可能?
  4. 判例・裁判例コラム

    残業代の支払期日
  5. 判例・裁判例コラム

    無期雇用者間にも同一労働同一賃金! 仙台高裁「均衡待遇ルールが公序として社会内に…
PAGE TOP