判例・裁判例コラム

学校改革に反対した教員13人を懲戒処分! 裁判所「反対意見があっても従う義務がある」

松江地裁R8.1.19
高校を運営する学校法人で、理事長らが、生徒減少への対応として、他校との差別化のために、教育課程の大幅変更を決定。
これに反対した教員らは、校長の承認を得ないまま、生徒・保護者向けに
「教職員は反対して見直しを要望している」
「保護者説明会に参加して意見を述べてほしい」
という文書を配布
その結果、
・生徒が校長室に直談判
・生徒説明会が混乱
・保護者説明会も紛糾
・学校は教育課程変更を撤回
という事態になった。
学校は教員13人を懲戒処分。
教員らは、「意見表明権の行使であり、正当な活動だ」として懲戒処分の無効を主張した。
→労働者は、就業規則の合理的な規定に基づく相当な指揮、命令である限り、仮に反対の意見を有していたとしてもこれに従う義務がある。
本件でも、生徒減少による経営難を回避するために就職に強い学校へ転換することで他校との差別化を図るという経営方針の策定や、その実現としての教育課程の変更は、法律等に従ってなされる限り最終的には使用者の権限に属する事柄である。
教員らは、組織の一員として反対の意見を述べることもできると考えられるが、使用者による最終的な決定に対しては法規範等に反しない限りこれに従う労働契約上の義務がある。
にもかかわらず、教員らは、学校経営にとっていわば顧客ともいうべき生徒及びその保護者らに対し、経営陣に対する不満や経営陣と教員らの対立の存在を明らかにして学校の名誉、信用を毀損するとともに、経営陣の決定した教育課程の変更を妨害した。
職務上の義務違反、服務規律違反、職員としての品位を失い、学園の名誉を損する非行等の懲戒事由にあたると判断

裁判所は、
労働者は、就業規則の合理的な規定に基づく相当な指揮、命令である限り、仮に反対の意見を有していたとしてもこれに従う義務がある。
としました。
当然のことではありますが、これが理解されておらず、トラブルになる例もあるように感じます。
使用者の最終的な決定には従う義務があり、これは反対意見が多数でも同じです。多数決で決まるわけではありません。

「転勤したくないなら給料15%カット」は違法? 東京地裁の判断!前のページ

人事考課のフィードバックがないのに7年連続で降級・減給! 東京地裁が無効判断!次のページ

ピックアップ記事

  1. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  2. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  3. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  4. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  5. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    役付手当を固定残業代と位置付ける賃金規程の効力について判示した事例

    名古屋高裁R2.5.20賃金規程に「役付手当は、課長、所長代理以上を…

  2. 判例・裁判例コラム

    業務に消極的な態度をとり、執務態度を改めない従業員の解雇

    東京地裁H28.3.28大企業が大学院卒勤続12年の正社員を…

  3. 判例・裁判例コラム

    マクドナルドの店長の管理監督者性

    東京地裁H20.1.28店長は、アルバイト従業員を採用する権限はある…

  4. 判例・裁判例コラム

    「長すぎる休職制度」を見直した病院が敗訴! 裁判所が問題視した点とは?

    京都地裁R7.10.2病院が就業規則の私傷病休職の規定を変更変更前は…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    シフト制従業員とのシフト決定のやりとりの失敗が会社敗訴の原因に!東京地裁の判断
  2. 判例・裁判例コラム

    成績不振で基本給カットは違法じゃない? 2年連続の賃金減額が有効とされた東京地裁…
  3. 判例・裁判例コラム

    社外で勤務する従業員が休憩がとれていなかったとして割増賃金請求!東京地裁の判断!…
  4. 判例・裁判例コラム

    適応障害による休職からの復職にあたり賃金を減額した事案
  5. 判例・裁判例コラム

    「週1回休ませてほしい」という主治医の診断書。会社は認める義務がある?【東京地裁…
PAGE TOP