東京地裁R6.10.24
学校法人が社会科の教員を解雇。①校内で入試の片付けが行われている様子を無断録画した、②教頭らから注意・指導を受けている最中に、その様子を承諾なく撮影し続け、撮影をやめるよう注意を受けるまで無断撮影を継続した、③職員会議に参加している最中に、その会議内容を許可なく録音し、校長から録音機の提出を求められると、ペン型録音機をへし折って提出したなどの問題があった。
→①及び②については、動画データが外部に流出するなど、学校運営に重大な支障を生じたと認めるに足りる証拠はない。また、③については、当時、学校法人において、別の教員の言動が動画データとして外部に流出したり、職員会議の内容が新聞に流出したことが問題になっており、その調査が実施されていた中で、解雇された教員は学校による調査を問題視していたことがうかがわれる。ペン型録音機を用いて会議内容を録音していたことは、解雇された教員の認識としては、自分が情報を漏えいしたと濡れ衣を着せられてはたまらないという自己防衛等を理由とするものであったものといえ、不当な目的があったものとまでは認められない。そして、ペン型録音機によって録音された内容が外部に流出したことを認めるに足りる証拠はなく、職員会議を録音したことによって、学校の運営に重大な支障を生じさせたとは認められない。解雇無効と判断