福井地裁R3.5.11
従業員が工場で使用していた発がん性の薬剤が原因で膀胱がんを発症した
→会社は安全配慮義務の具体的内容として、不浸透性作業服等の着用や、身体に薬品が付着した場合の措置についての周知を徹底し、従業員に遵守させる義務があった。
本件では、会社が作業服を貸与し、薬品付着時は速やかに着替えをしたり、シャワー洗浄することを注意喚起していた。しかし、工場内が高温になる夏場は熱中症予防の観点から半袖Tシャツでの作業を容認し、薬品付着時の対応も繁忙時は徹底されていなかった。指導を行っていたことは認められるものの、これが従業員によって徹底されていなかった以上、義務を履行したとはいえず安全配慮義務違反
こういう本気度の低い「注意喚起」や「指導」をしても安全配慮義務を果たしたことにはなりません。安全性に疑念のある薬品を使用するなら、業務起因の健康被害を絶対に出さないという明確な意思を持って本気で取り組む必要がありました。
裁判所も「周知を徹底し、これを従業員に遵守させるべき義務があった」と判示しています。 安全配慮義務については以下の記事もご参照ください。
https://kigyobengo.com/media/useful/3983.html