判例・裁判例コラム

東京地裁R3.2.15

不動産会社の部長が営業担当の従業員に、売上が上がらなければ退職してもらうという趣旨の発言をして退職勧奨
→退職勧奨は、その手段・方法が社会通念上相当と認められる範囲を逸脱しない限り、使用者による正当な業務行為としてこれを行い得るものと解するのが相当。「売上が上がらなければ退職してもらう」という趣旨の発言は、成果をあげられなければ強く退職勧奨する旨予告する発言と解され、その発言時の状況や他の事情等と併せて社会通念上相当と認められる範囲を逸脱する可能性がないとはいえないが、その発言のみから直ちに社会通念上相当と認められる範囲を逸脱するとまで評価できない。不法行為に当たらないと判断。

売上を上げることが営業の仕事ですから、「売上が上がらなければ退職してもらう」というのは、当然と言えば当然です。
一方で、それだけ言っていても何も解決しないということも感じます。成果が上がる営業方法を具体的に指導することが必要ですし、例えば入社間もないのに「売上が上がらなければ退職してもらう」というのは不適切です。また、成果が上がらない理由が、営業の方法ではなく、商材にあることも考えられます。そういった点を踏まえて、裁判所も、「その発言時の状況や他の事情等と併せて社会通念上相当と認められる範囲を逸脱する可能性がないとはいえない」、つまり場合によっては違法になると判示しているように思います。

キャバクラ嬢は労働者?割増賃金請求できるのか?前のページ

営業担当者の採用失敗の手痛い失敗事例!東京地裁の結論!次のページ

ピックアップ記事

  1. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  2. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  5. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力

    大阪地裁R7.1.27放課後デイサービスを提供する会社が就業規則で「…

  2. 判例・裁判例コラム

    東京地裁R7.5.23

    会社から退職勧奨を受けて退職合意書案を受諾すると返信した従業員が、そ…

  3. 判例・裁判例コラム

    どのくらいの時間数の副業なら本業に支障を生じさせると認められる?

    東京地裁R3.7.8集団住宅の管理員として有期雇用されていた…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    仕事が同じなのに契約社員の基本給が正社員より3割低いのは違法?大阪高裁の判断!
  2. 判例・裁判例コラム

    “休憩60分”が全部労働時間に!?割増賃金の支払命じた東京地裁R7.7.3
  3. 判例・裁判例コラム

    殺人未遂容疑で逮捕された営業担当者に対して、会社が釈放後に行った休職命令は適法か…
  4. 判例・裁判例コラム

    作業中にスズメバチに刺された事故は使用者の安全配慮義務違反?
  5. 判例・裁判例コラム

    私傷病休職について独自の復職基準を定める規定の効力
PAGE TOP