判例・裁判例コラム

長時間労働者に早く帰宅するように指導しても帰らない場合に会社がとるべき対応

大阪地裁H20.5.26
長時間労働のシステムエンジニアがうつ状態と診断されて会社の安全配慮義務違反を主張。会社は、①補充要員を確保するなどして本人の業務を軽減し、上司も帰宅できるときには帰宅するようにと指導・助言していた、②早く帰るよう指導しても交際中の女性がまだ職場に残っており退社するのを待っているからもう少し残りたい旨答えたことも複数回あったと反論。

→時間外労働時間が恒常的に月100時間を超えており、この状況で会社が安全配慮義務を履行するためには単に残業しないよう指導・助言するだけではもはや十分でなく、端的にこれ以上の残業を禁止する旨を明示した強い指導・助言を行うべきであった。それでも応じない場合、最終的には、業務命令として一定の時間が経過した以降は帰宅すべき旨を命令するなどの方法を選択することも念頭に置いて長時間労働を防止する必要があった。安全配慮義務違反ありと判断。

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