大阪地裁R7.10.17
飲食店経営会社に雇用され、グループ企業に出向して、レストランで勤務していた従業員が、上司から勤務時の様子の異変を問われ、勤務時間中に販売用瓶ビール1本を飲んだことを認めた。さらに、1か月後にも勤務時の様子の異変について指摘を受け、勤務時間中に販売用の瓶ビールを飲んだことを認めた。さらに、5か月後にも、勤務時間中に、販売用のビール中瓶4本を飲酒しながら勤務した。会社は3回目の飲酒が発覚した当日にこの従業員を懲戒解雇
→「会社の金銭・物品・財産を着服、借用・横領・背任した者、又はしようとした者」などの懲戒事由にあたり、懲戒解雇事由は認められる。しかし、就業規則に基づく賞罰規程に「懲戒処分については、賞罰委員会で審議の上決定する。」とあるところ、本件では賞罰委員会が賞罰規程で定められた通りに開催されていない。
例えば、①賞罰委員会は出向元により構成されることが定められているのに、開催された賞罰委員会は出向先の役員または従業員により構成されており、
➁賞罰委員会の審議の前に懲戒解雇が決定されて従業員に告知されており、賞罰委員会は告知後に行われている。
③また、会社が告知後に行った賞罰委員会の構成も、賞罰規程では委員の半数を占める従業員側委員3名を従業員の過半数を代表する者が決定するとされているが、本件では、人財開発部の課長が、何らの手続によることなく自分自身を従業員の過半数代表者と定めた上で、自分と他の2名を従業員側委員として任命しており、賞罰規程に定める手続により構成されたものとは評価できない。
④さらに、これによって任命された従業員側委員の1名は、本件従業員の非違行為について監督責任を問われ得る立場であり、賞罰規程の「委員会の委員が表彰または懲戒の当事者である場合は、その委員会に出席することはできない。」と定めた規定の趣旨にも反する。
この点、会社は、賞罰規程どおりの順番で手続を履践していたとしても判断に違いは生じなかったし、事後とはいえ賞罰委員会による審議は行われているから賞罰委員会の前に処分が決定していたことの瑕疵は軽微であるなどと主張する。しかし、正規の手続を履践した場合に結論が変わるか否かによって手続的相当性が左右されるものではない。また、本件において事後的に開催されたとされる賞罰委員会の構成自体にも、前述の通り瑕疵がある。本件懲戒解雇の手続には、処分を無効とすべき重大な瑕疵があり、その余の点を検討するまでもなく、無効であると判断。
賞罰委員会の進め方については、以下でも解説しています。あわせてご参照ください。
https://kigyobengo.com/media/useful/2437.html





