宮崎地裁R8.1.30
県警の課長が勤続6年目の部下に対し、書類作成上のミス等について理詰めで追及的な指導を行うようになり、その際、しばしば、「もう30歳になるんだから」「語学ばかりじゃなくて警備の仕事もしろよ」などの発言を行った。
部下は、繊細だが明るく真面目な性格であり、警備課の業務に積極的に取り組んでいたほか、大学在学中にスペイン語圏の大学に留学するなどスペイン語が堪能であり、警備課に配属された後も、スペイン語の研鑽を続けていた。
他方で、書類作成が苦手であり、作成した書類に誤字脱字が多かったほか、内容や構成の稚拙さを指摘されることがたびたびあった。
また、決裁前後の書類を整理できていないことが多かった 。
→課長によるこのような指導が4か月程度続いたことが認められる。
ミスの内容は、書類作成上の重要事項の漏れ、誤字脱字及び提出期限の徒過等といった不注意による単純なミスであること、部下はそれまでに相応の業務経験を積んでいたことからすれば、ミスを繰り返す部下に対して指導の度合いを一定程度強めることは、社会通念上相当な指導として許容されるべきである。
しかし、課長は、指導する際、不必要に部下の年齢に言及し、または語学の研鑽にいそしむ姿勢をやゆしたと受け取られかねない発言を繰り返したものであり、部下が休暇を取得した際、課長から自身の年齢に言及されて人格を否定されたと感じた旨、課長に怒られることがプレッシャーになっている旨を述べたことからすれば、その指導は相当程度の心理的負担を生じさせるものであったといえる。
業務上の指導として必要かつ相当な範囲を超え、社会通念上許容される限度を逸脱したものであったというべきであり、パワーハラスメントに当たるといえると判断
パワハラは「言葉」だけの問題ではないですが、パワハラと評価されやすい言葉というのはあります。以下でも解説していますので、ご参照いただければ幸いです。
https://kigyobengo.com/media/useful/2626.html
こういう皮肉めいた余計な一言は、他の裁判例でも、パワハラとされています。
端的に具体的な問題点を伝えて、例えばミスの記録を自分で作って定期的に見直すように指示するなど、具体的な改善方法を指導することに徹するべきです。





