東京高裁R8.1.22
銀行で職員が上司であるグループ長らに、業務日誌のデータ保存方法に関する業務改善を提案。グループ長は、この職員に対し、改善を進めたいのであれば細部までフローを詰めるように指示し、具体的に検討すべき事項を4点示した。
これに対し、職員は、
「管理職が部下の日報を確認する手順まで部下が考えることでしょうか?自身で行う操作方法は当然にご自身で確認願います。(歩き方まで教える必要があるのでしょうか。)」
「グループ長として進めるべき事項は、ご自身で考えてグループ効率化に向けて率先して取り組んで下さい。グループ長がアイデア1つ出ないほど業務をご存知ではないかと思いますので。」
「全てご自身で判断できないという理解で宜しいでしょうか?業務を投げ出しているのは、グループ長ご自身ではないでしょうか。」
とのメールを送信した。
銀行はこれが懲戒事由にあたるとして他の懲戒事由と合わせて、メール送信から5年後に出勤停止3日の懲戒処分。一審は懲戒処分有効と判断。職員が控訴。
→職員のメールの文章は、上司に対する表現としては礼節を欠くものであることは否定できない。
しかし、その趣旨は、上司として自ら率先して事務の効率化について取り組んで欲しいというものであって、不合理なものとはいえない。
グループ長も「至らない点が多々あります件、申し訳ございません。一つずつ改善させていただきます。」などと謝罪とも取れるメールを送信して事を荒立てずに収拾することを選択し、上司として職員に対して何らの指導をしていない。
そして、銀行において、この職員の当時の人事評価について「コミュニケーション」は「3」、総合評価「3」などとされていたことに照らすと、このメール送信が、当時、銀行において懲戒事由にあたるほどに問題があるものと認識されていたとは認められない。職務上の命令に不当に反抗し、職場の秩序を乱すものであったとは未だ認められず、懲戒事由に該当しないと判断。





