判例・裁判例コラム

懲戒解雇を社内で公示したことが名誉毀損にあたる?

東京地裁R5.5.24
機密情報を漏洩した経理部長代理を懲戒解雇。
会社は、社内に「当社の従業員(管理職)1名が、当社の機密情報を含む社内データを私的利用で自宅に持ち帰り、また、特定の者の求めに応じて社内データを複数回漏洩する等の複数の重大な非違行為を行っていたことが判明したため、本日付けで懲戒解雇処分としました」と公示した。経理部長代理はこれが名誉毀損であると主張して損害賠償を求めた。
→就業規則に懲戒処分を社内に公示できる旨の規定がおかれている。公示では懲戒解雇された者の氏名は記載されておらず、仮に他の従業員がこの公示により懲戒解雇された者を認識できるとしても、本件懲戒解雇が有効であると判断される以上、会社が就業規則に従い、その内容を社内に公表すること自体は相当な行為。名誉毀損には当たらないと判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  2. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  3. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  4. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  5. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    派遣会社が派遣社員に競業避止義務を課すことに正当な目的はあるのか?

    東京地裁R4.5.13システムエンジニアを企業に派遣する派遣会社が、…

  2. 判例・裁判例コラム

    PIP実施方法の問題点が指摘され、解雇が無効とされた事例

    東京地裁R6.3.18前職でデジタルマーケティングを…

  3. 判例・裁判例コラム

    朝礼で職員同士が仲が悪いと発言した代表取締役の不法行為責任

    東京地裁R6.11.13代表取締役が朝礼において、全職員の前…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    セミナー「ジョブ型雇用の就業規則の作り方とジョブ型雇用の裁判例」開催のお知らせ
  2. 判例・裁判例コラム

    試用期間満了20日前の解雇が解雇の選択の時期を誤ったものであり無効と判断された事…
  3. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用でポストが失われた場合に使用者に求められる解雇回避措置の内容
  4. 判例・裁判例コラム

    協調性欠如などの問題がある従業員に年賀状の宛名シール貼りを1日1000枚のペース…
  5. 判例・裁判例コラム

    就業時間外の性犯罪による懲戒解雇
PAGE TOP