東京地裁R6.4.25
60歳で定年退職した従業員を1年間有期雇用した後、2年目の有期雇用にあたり大きく切り下げた労働条件を提示。従業員は雇い止め法理の適用により、2年目も1年目と同じ条件で労働契約が成立すると主張した。
→雇い止め法理を定める労働契約法19条2号は「有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由」があることを要件としている。ここにいう更新の期待とは、直近の労働条件と同じ条件で契約することの期待をいう。本件では、①まだ更新されたことがなかったこと、②会社の再雇用について定めた継続雇用規程において定年後再雇用者の労働契約は期間1年とされ、労働条件については個別に会社が契約の都度決定すると定められていること、③会社が3年連続赤字であり、親会社に吸収合併され、労働条件の切り下げが客観的に避けがたい状況であったこと等を踏まえれば、2年目の契約が1年目と同じ労働条件でされることについての期待に合理的理由はない。2年目の契約について合意に達しなかったことにより、雇用契約は終了したと判断