東京高裁R6.5.15
引越運送会社が運転手の給与について、基本給等のほか、以下の通り売上額に応じた業績給を支給する旨定めた。そのうえで、業績給部分については労基法施行規則19条6号の出来高払制賃金と扱い、割増賃金を1.25分ではなく0.25分のみ支払うと規定
売上額 業績給
100万円未満 売上額の5%
100万円以上 60,000円
150万円以上 75,000円
200万円以上 90,000円
250万円以上 105,000円
300万円以上 120,000円
350万円以上 135,000円
400万円以上 150,000円
500万円以上 170,000円
→「出来高払制その他の請負制」(労基法27条及び労基法施行規則19条1項6号)とは、労働者の賃金が労働給付の成果に一定比率を乗じてその額が定まる賃金制度をいう。引越運送業務に従事する現業職は、引越荷物の積卸作業及び引越荷物の運搬を担っているのであり、作業量や運搬距離をもって労働給付の成果というのが相当である。作業量との緩やかな相関関係があるだけでは、法の予定する出来高払制とはいえない。「売上額」は、作業量等と一致しないから、出来高払制賃金とはいえないと判断。