判例・裁判例コラム

就業時間外の性犯罪による懲戒解雇

東京地裁R6.10.25

上場企業の営業社員が退勤後に同僚と飲酒した後、自宅最寄駅で見ず知らずの女性に声をかけ不同意わいせつ行為に及んだ。逮捕されたが140万円払って示談した結果、不起訴となった。会社はこの社員を懲戒解雇。社員は私生活上の非行であり、会社名の報道もされておらず、会社の社会的評価の低下はないから懲戒解雇は無効であると主張した
→社員は営業職で取引先や一般消費者との接点もある。会社はミッションステートメントを制定して法を遵守するという行動指針を明らかにしているところ、本件行為はこの行動指針にも明らかに反する。本件行為は氏名とともに報道されており、会社の社会的評価の毀損をもたらす。社名が報道されなかったことは本件行為に対する評価を左右するものではない。不起訴となったことを踏まえても懲戒解雇は有効と判断。

就業時間中にコンビニ駐車場で自社車両に向かって放尿し、目撃者から苦情があった運転手の普通解雇前のページ

セクハラ被害の訴えと休職期間の満了次のページ

ピックアップ記事

  1. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  2. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  3. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  4. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  5. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    部下3名(正社員1名、派遣社員2名)の部長の管理監督者性

    東京地裁R6.3.28太陽光発電システムの設計、販売等を事業とする会…

  2. 判例・裁判例コラム

    夏季休暇が「休日」なのか「休暇」なのか、が争点になった裁判例

    東京地裁H30.7.18就業規則で土日祝と年末年始を所定休日と定めて…

  3. 判例・裁判例コラム

    人事考課に基づく降格・賃金減額の有効性

    東京地裁R4.1.31地道なテレアポ営業に熱心に取り組まず、…

  4. 判例・裁判例コラム

    現勤務先の利益より、元勤務先への義理を優先してよい?

    東京地裁R6.10.23不動産売買を事業とする会社の従業員が…

  5. 判例・裁判例コラム

    復職可否の立証責任

    東京地裁H25.1.31復職可否の立証責任労働者の治療・回復に係る情…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    業務命令に応じない従業員への対応事例②
  2. 判例・裁判例コラム

    日報を提出しない従業員に対するけん責処分
  3. 判例・裁判例コラム

    71歳の母親と28歳の妻、2歳の長女と同居している従業員に単身赴任となる転勤を命…
  4. 判例・裁判例コラム

    「復職可能であり、3か月間は短時間勤務及び軽度業務に限る配慮が必要」と主治医が診…
  5. 判例・裁判例コラム

    マクドナルドの店長の管理監督者性
PAGE TOP