判例・裁判例コラム

始業前の就業準備行為の労働時間性

東京地裁H15.10.3
就業規則に「15分前迄に出社し、就業に適する服装を整える等就業の準備をしておくこと」と定め、厳しい経営環境から、社員一体となって15分前出社と環境整備等の就業準備行為を徹底する方針を打ち出した
→始業前15分間の就業準備時間を労働時間と判断。

ウエストロー ジャパン掲載裁判例

3 時間外賃金権の存否(争点(3))について
 前記1(1)クに認定の事実によれば、被告は、就業規則において始業時刻の15分前までに出社し就業時間前に就業の準備行為をすることを義務づけているところ(なお、乙1によると、同就業規則にいう臨時社員、パートタイマー、契約社員にも同条項は適用される。)、競争の激化などにより経営環境が厳しさを増した平成13年7月以降、これに対処する方策の一環として、上記15分前出社と環境整備等の就業準備行為を徹底し、社員一体となってこれを実施すべしとの方針を打ち出し、原告も同年8月30日以降、これに従うことを余儀なくされ、実行したことが認められる。
 そうである以上、始業時刻前15分間は賃金支払の対象となる労働時間というべきである。なお、原告と被告との間で、30分未満の所定時間外労働には賃金を支払わないとの合意があったことを認めるに足りる証拠はない。
 したがって、被告は、原告に対し、この所定労働時間外の労働に対する対価1万0500円を支払うべき義務を負う(金額算定式は原告主張のとおり)。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  2. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  3. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  4. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  5. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    ハラスメント調査への不服を経営陣らに送り続ける社員の解雇

    東京地裁R6.6.27従業員が人事部に対してハラスメントの被害を申告…

  2. 判例・裁判例コラム

    診断書提出後もマスク着用を指示し続けたのは違法か?

    大阪地裁R5.5.22日本郵政株式会社がコロナ禍に郵便局職員にマスク…

  3. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用の会社でジョブが廃止されたことによる整理解雇は有効?

    東京地裁R4.4.12ジョブ型雇用の外資系金融機関で部門廃止により人…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?
  2. 判例・裁判例コラム

    固定残業代を廃止して実労働時間に応じた残業代の支払に変更!不利益変更だが有効とし…
  3. 判例・裁判例コラム

    1年単位の変形労働時間制を定める就業規則の不備
  4. 判例・裁判例コラム

    些細なミスを広範に注意した後の能力不足解雇
  5. 判例・裁判例コラム

    日報を提出しない従業員に対するけん責処分
PAGE TOP