東京地裁R6.3.28
太陽光発電システムの設計、販売等を事業とする会社の法務部長兼人事部長が退職後に残業代請求
・会社の職制上、法務部長兼人事部長より上位に配置されているのは社長のみ
・入社時に交付された雇用証明書には、職務として、「経営会議のメンバーとして、経営に重要なトピックについて、リスク分析、法務及び人事の助言を行い、経営陣と協力し、会社の複雑な問題を一緒に解決する」と明記されていた
・部門長以上で構成される会議体に参加し、経営の中枢に関与
・実態としても、法務・人事部門を統括するという役割を担い、顧客と契約する際は必ず法務部長兼人事部長の承認を得ることとされていた。
・社員の新規採用において面接官として対象者の評価に関与
・部下である正社員の人事評価を行い、賞与額の決定に関与
→労働時間規制の枠を超えて活動することを要請されてもやむを得ない重要な職務と権限を付与されていたといえる。新規採用における最終的な決定権限がなかったことや、部下1名の人事考課にのみ関与し、会社の社員全員の人事考課に関与していなかったことをもって、管理監督者性が否定されるものではない。さらに、一般の社員とは異なり、所定就業時間中であっても、代表者に連絡すれば、途中から在宅勤務に切り替え、帰宅することが許されていた。待遇も年収1200万円~1420万円で、非管理監督者として扱われている社員の平均である645万円と比較すると相当に高額。よって、管理監督者にあたると判断