判例・裁判例コラム

役付手当を固定残業代と位置付ける賃金規程の効力について判示した事例

名古屋高裁R2.5.20
賃金規程に「役付手当は、課長、所長代理以上を対象に、役付に付随する責任に対し手当するとともに、雇用契約書等において特定した時間分の所定休日労働に対する割増賃金として、月額5万円から30万円の範囲で毎月固定額を支給する」と定めた。
→役付に付随する責任に対する支給であることが明記されており、性質上、所定休日労働に対する割増賃金として支給される範囲が必ずしも明らかでないことも考慮すると、役付手当の性質が所定休日労働に対する対価であったことが明確であるとはいえず、休日労働に対する賃金の支払にあたるとはいえない。

役付手当について、役職の責任に対する支給としての意味と、割増賃金の支給としての意味の両方をもたせようとした結果、対価性が否定された事例です。固定残業代として設計するのであれば、割増賃金の支給としての意味以外の意味をもたせるべきではありません。なお、若干判示がわかりにくいですが、この事案において「所定休日労働に対する割増賃金」とは、要するに、週40時間を超えたことによる時間外労働の割増賃金を指すようです。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  2. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  5. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    採用内定後のバックグランドチェックの結果に基づく内定取り消し

    東京地裁R6.7.18外資系のコンサルティング会社が採用内定…

  2. 判例・裁判例コラム

    労働者の適性を判断する試用目的での有期雇用契約

    東京地裁R6.9.26広告代理店が人材紹介会社から紹…

  3. 判例・裁判例コラム

    上司とトラブルが絶えない従業員に対する退職勧奨が違法とされた例

    東京地裁R5.12.7 会社代表者が、従業員に対し、上司の業…

  4. 判例・裁判例コラム

    始業前の就業準備行為の労働時間性

    東京地裁H15.10.3就業規則に「15分前迄に出社し、就業に適する…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    早出残業の残業代請求が認められた事例
  2. 判例・裁判例コラム

    飲食店経営会社が勤務中に販売用ビールの飲酒を繰り返したレストラン職員を懲戒解雇!…
  3. 判例・裁判例コラム

    出勤停止の懲戒処分通知書を従業員が返送した場合の効力
  4. 判例・裁判例コラム

    会社はどこまで注意喚起すれば安全配慮義務を果たしたといえる?
  5. 判例・裁判例コラム

    転職サイトにパワハラありと投稿した退職者に会社が賠償請求!東京地裁の判断。
PAGE TOP