判例・裁判例コラム

重量8キロ以上あるコスチュームを着用してパレードに出演する業務に従事させることは安全配慮義務違反?

千葉地裁R5.12.26
テーマパークで重量8キロ以上あるコスチュームを着用してパレードに出演する業務に従事していた女性が胸郭出口症候群等を発症。会社の安全配慮義務違反を主張した。
→症状について業務起因性は認められるが、会社の安全配慮義務違反というためには、会社が業務軽減措置を講ずべき状態にあることを予見できたことが必要。会社は、出演者に対し、その日の勤務開始時に、コンディション確認表を用いて自身の体調等を申告するよう求めていた。このこと自体は合理的であり、会社が本人から痛みの訴えがあったことを認識するまでは、業務軽減措置を講ずべき状態にあることの予見可能性がなく、会社が業務軽減措置を講じなかったことは義務違反とはいえない。損害賠償請求認めず。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  2. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  5. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    自宅待機中の従業員に対する出社命令

    東京地裁R6.4.24嫌いな人物はとことん追い詰める、高圧的な態度で…

  2. 判例・裁判例コラム

    中古車買取店の店長が管理監督者にあたるかが問題になった事案

    岐阜地裁R6.8.8中古車買取店の店長が時間外労働割増賃金を請求→店…

  3. 判例・裁判例コラム

    能力主義的賃金制度導入の失敗例

    長野地裁H22.3.26病院が職員の就業規則を改定して賃金制度を変更…

  4. 判例・裁判例コラム

    小規模企業の整理解雇では役員報酬の削減が必要?

    東京地裁R6.1.30製造業者が新たに訪問介護事業を開始したが、訪問…

  5. 判例・裁判例コラム

    就業規則による民法536条2項の適用排除が認められた例

    函館地裁S63.2.29タクシー会社が人身死亡事故を起こした乗務員を…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    就業規則による民法536条2項の適用排除が認められた例
  2. 判例・裁判例コラム

    変形労働時間制採用のために就業規則に260ページにわたる別表を設けてシフトパター…
  3. 判例・裁判例コラム

    試用期間中に2回の事故を起こし、ミスも改善されない従業員を実働10日で解雇した事…
  4. 判例・裁判例コラム

    会社が傷病手当金の申請に協力しなかったことを理由とする損害賠償請求
  5. 判例・裁判例コラム

    業務命令に応じない従業員への対応事例
PAGE TOP