判例・裁判例コラム

日常的な強い叱責がパワハラにはあたらないが安全配慮義務違反ありとされた事例

徳島地裁H30.7.9
銀行職員が自殺し、遺族はパワハラ自殺と主張。
→赴任先で日常的に強い叱責を受けていたが職員のミスを指摘するものであり指導の範囲を逸脱しない。ただし、上司はこれらの状況を十分認識しており、職員が赴任後継続的に異動を希望し続けていたことや、2年間で15キロも体重が減少するなど体調不良が明らかであったこと、同僚にしばしば死にたいと訴えるようになりこれは上司に報告されていたことからすると、心身に過度の負担が生じないように異動も含め対応を検討すべきであった。一時期職員の担当業務を軽減したのみでその他の対応をしなかったことは安全配慮義務違反として賠償命令。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  2. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  3. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  4. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  5. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    外資系企業における整理解雇について判断した事例

    東京地裁R3.12.13外資系金融機関が月給350万円の本部長を整理…

  2. 判例・裁判例コラム

    残業許可制について厳格な運用をしていたと認められた事例

    東京地裁R3.6.30就業規則で21時以降の残業は事前の許可を要し、…

  3. 判例・裁判例コラム

    長時間労働者に早く帰宅するように指導しても帰らない場合に会社がとるべき対応

    大阪地裁H20.5.26長時間労働のシステムエンジニアがうつ状態と診…

  4. 判例・裁判例コラム

    始業前の就業準備行為の労働時間性

    東京地裁H15.10.3就業規則に「15分前迄に出社し、就業に適する…

  5. 判例・裁判例コラム

    懲戒処分としての降格に伴い基本給、役付手当を減額することは有効か?

    東京高裁R3.6.23タイムカードを改ざんした部長を懲戒処分として次…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    1000円の着服をした運転手の退職手当1200万円超を全額不支給にした事案
  2. 判例・裁判例コラム

    派遣会社が予定していた契約を得られなかったことを理由に行った内定取消の効力につい…
  3. 判例・裁判例コラム

    就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?
  4. 判例・裁判例コラム

    産休からの復帰に際し、週5勤務から週1勤務に変更することを提案したことが適法とさ…
  5. 判例・裁判例コラム

    主治医は復職可、産業医は復職不可と診断した従業員の復職可否について裁判所が判断し…
PAGE TOP