判例・裁判例コラム

犯罪を犯したとして起訴され、起訴休職期間満了で解雇された職員が、不当な起訴であり解雇は刑事裁判終了を待つべきと主張した事例

大阪地裁H29.9.25
傷害致死罪で起訴された助教について、大学は起訴休職を適用し、就業規則に定めた2年の休職期間満了で解雇。助教は、不当な起訴であり、解雇は刑事裁判終了を待つべきと主張。

→刑事裁判が2年を超えることがあるからといって、大学が2年を超えて休職を認める不利益を受け入れるべき理由はない。大学は、助教に休職期間中の賃金を支払う義務を負わないとしても、その間、助教による労務の提供を受けることができない不利益が生じることは明らかである上、これを補填するために臨時的に新たな職員を補充することが不可能ではないとしても、起訴休職事由が解消されるかどうかや、いつ解消されるかどうかも不明のまま、助教との雇用関係を維持するために、大学が臨時的雇用による対応を継続しなければならない義務はない。解雇有効と判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  2. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    就業規則による民法536条2項の適用排除が認められた例

    函館地裁S63.2.29タクシー会社が人身死亡事故を起こした乗務員を…

  2. 判例・裁判例コラム

    適応障害による休職からの復職にあたり賃金を減額した事案

    東京地裁R5.12.28適応障害による休職からの復職にあたり、賃金が…

  3. 判例・裁判例コラム

    どのくらいの時間数の副業なら本業に支障を生じさせると認められる?

    東京地裁R3.7.8集団住宅の管理員として有期雇用されていた…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    役付手当を固定残業代と位置付ける賃金規程の効力について判示した事例
  2. 判例・裁判例コラム

    基本給を最低賃金相当額としつつ200時間分相当の固定残業代を支給した事案
  3. 判例・裁判例コラム

    営業担当者について退職後6か月間に限って同業他社への就職を禁止する誓約書の効力
  4. 判例・裁判例コラム

    退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力
  5. 判例・裁判例コラム

    朝礼で職員同士が仲が悪いと発言した代表取締役の不法行為責任
PAGE TOP