判例・裁判例コラム

うつ病での服薬治療等のみを理由とする退職勧奨が違法とされた事案

京都地裁R5.3.9
運送会社が運転手から精神障害3級の記載のある扶養控除等申告書の提出を受けたことをきっかけにうつ病での服薬治療を知り退職勧奨。
→運転手の勤務状況等に特段問題はなく、精神障害等級3級との認定を受け、通院して服薬治療を受けていることのみをもって、その病状の具体的内容、程度はもちろん、主治医や産業医等専門家の知見を得るなどして医学的見地からの業務遂行に与える影響の検討を何ら加えることなく、退職勧奨に及んだものと言わざるを得ない。障害者である運転手に対して適切な配慮を欠き、人格的利益を損なうものであって、不法行為を構成すると判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  2. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    雑に作成された退職時の秘密保持誓約書が無効と判断された例

    東京地裁R6.2.19退職する従業員に、「退職後3年間は、貴社所属時…

  2. 判例・裁判例コラム

    アルバイトをシフトに入れなかった使用者の責任

    東京地裁R6.3.26コロナ禍で休業していたラーメンチェーン…

  3. 判例・裁判例コラム

    通勤中の電車内で盗撮行為を行った課長を懲戒解雇した事案

    名古屋地裁R6.8.8課長が通勤中の電車内で口を開いたリュッ…

  4. 判例・裁判例コラム

    独自の休職基準を定める規定の効力

    東京地裁R6.9.25就業規則において、就労の可否は専ら使用者が指定…

  5. 判例・裁判例コラム

    労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例

    宮崎地裁R6.5.15平均月56時間の時間外労働をしていた係長が突然…

  6. 判例・裁判例コラム

    残業許可制について厳格な運用をしていたと認められた事例

    東京地裁R3.6.30就業規則で21時以降の残業は事前の許可を要し、…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    就業規則に不備があれば退職金2回もらえる?
  2. 判例・裁判例コラム

    中古車買取店の店長が管理監督者にあたるかが問題になった事案
  3. 判例・裁判例コラム

    「復職可能であり、3か月間は短時間勤務及び軽度業務に限る配慮が必要」と主治医が診…
  4. 判例・裁判例コラム

    1年単位の変形労働時間制を定める就業規則の不備
  5. 判例・裁判例コラム

    年功序列的賃金制度から成果主義的給与体系への就業規則変更を行った事案
PAGE TOP