判例・裁判例コラム

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力

大阪地裁R7.1.27

放課後デイサービスを提供する会社が就業規則で「従業員は、在職中はもとより、退職後も6ヵ月間、当法人の許可を得ることなく、当法人から半径2キロ以内の競業関係にある会社等に再就職し、または6ヵ月間は競業する事業を自ら営んではならない」と定めた。退職者が競業で独立して半径2キロ以内で事業を開設したため、会社は退職者に対して損害賠償を請求。
→会社の事業所は本店所在地のほか約10か所に及ぶものであり、「当法人から半径2キロ以内」とは、このすべての事業所を基点として半径2キロメートル以内の場所での開業を禁ずるものと解せざるを得ない。しかし、本件会社のような業態からすると、従業員が現に関与した事業所であれば、これを基点として一定期間一定の距離内で退職後の競業を禁ずる合理性はあるといえるが、およそ関係のない事業所も含まれる本件規定は、過度に職業選択の自由を抑制する。また、そのような規定の抑止的効果からすると、範囲を限定してその範囲では有効とするべきでもない。就業規則の規定は公序良俗に反し無効と判断

裁判所ウェブサイト

就業規則変更による勤務日変更の効力前のページ

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